ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-211-EDS7-1 基調講演:JRC蘇生ガイドライン2015―脳神経蘇生/脳神経救急・集中治療のポイント国際医療福祉大学熱海病院 神経内科 脳卒中・神経センター永山 正雄脳血管障害のみならず、広く脳神経救急・集中治療病態を対象とするニューロクリティカルケア、クリティカルケア神経学がこの数年で大きく台頭しており、とくに米国ではNeurocritical Care Society(NCS)の存在感が飛躍的に高まっている。わが国でも一般社団法人化された日本神経救急学会がNCSと学術提携を結んだほか、NCSとの国際シンポジウム開催(2016年11月)、フェロー(FJNE)制度導入等、活発な活動を展開している。Neurocritical Care の対象は広く、脳血管障害は元より心肺脳蘇生、意識障害、全身痙攣重積状態、非痙攣性てんかん重積状態(NCSE)、急性脳症、中枢神経系感染症、悪性症候群、急性神経系中毒、頭部外傷、spinal emergencyなど極めて広範である。2015年10月、日本蘇生協議会(JRC)は米国心臓協会(AHA)、欧州蘇生協議会(ERC)と同時に蘇生ガイドライン2015を公表したが、「JRC 蘇生ガイドライン2015」は独自に、脳神経救急・集中治療、脳神経蘇生に関するエビデンスに基づいたガイドラインを公表した。とくに二次救命処置における心拍再開後集中治療およびてんかん重積状態(とくにNCSE)において、てんかん発作の管理、持続脳波モニタリングの重要性が強調されたことは特筆される。さらに今後、関連3学会合同による委員会により、脳神経救急・集中治療全般に関する診療ガイドライン、学会公式テキストが公表される予定である。一方、NCS はMultimodality Monitoring コンセンサスステートメントのみならず、てんかん重積状態、重症脳損傷、large hemispheric infarction、coagulopathy reversal、external ventricular drain、深部静脈血栓症予防等に関するガイドラインやコンセンサスステートメントを次々に公表し続けており、脳神経救急・集中治療に関する医学・医療は国内外で急速に活性化されている。本基調講演では、「JRC蘇生ガイドライン2015」脳神経蘇生ガイドラインの概要とポイントについてわかり易く解説する。教育セミナー 7 2月13日(土) 14:40~17:00 第10会場専門医のための神経集中治療 advanced requirementEDS7-2 重症頭部外傷患者の神経集中治療1)日本医科大学大学院 医学研究科 救急医学分野、2)日本医科大学付属病院 救命救急科、3)日本医科大学付属病院 脳神経外科、4)日本医科大学多摩永山病院 救命救急センター横堀 將司1,2)、金谷 貴大2)、纐纈 健太3)、金子 純也4)、恩田 秀賢2)、桑本 健太郎2)、荒木 尚2)、畝本 恭子1,4)、布施 明1,2)、横田 裕行1,2)重症頭部外傷の病態は大きく一次的脳損傷(Primary brain injury)と二次的脳損傷(Secondary brain injury)に大別される。二次的脳損傷は頭部外傷受傷後に低血圧、低酸素、脳浮腫、頭蓋内圧亢進などの二次的要因により引き起こされる損傷を意味し、この二次的脳損傷が神経集中治療の主要なターゲットとなる。二次的脳損傷予防の基本は、頭部外傷の病態生理を理解し、適切なモニタリングを駆使しつつ頭蓋内環境の適正化を図ることにある。従来、二次的脳損傷の予防や治療の確立のために欧米、そしてわが国でも多くの多施設ランダム化研究(RCT)がなされた。これらの臨床研究は大きく 1)外減圧術に関するもの 2)ICPモニタリングに関するもの 3)治療薬剤に関するもの 4)脳低温療法を含めた体温管理に関するものと大別されるが、現時点ではこれらの有効性を見出せる報告は存在しない。これら臨床研究を振り返ってみると、基礎研究やPhase 2 Trialではよい結果が得られていたもののRCTへのTranslation に失敗した研究が多かった。この要因として、頭部外傷の病態生理の多様性と、単一のモニタリングによる病態の評価が考えられ、頭部外傷の急性期治療戦略を確立するうえで、これらを考慮した治療戦略が必要と思われる。本講演では、集中治療医が知るべきMinimum essentialとして、1)頭部外傷の病態生理、2)脳神経モニタリングの種類と応用、3)頭蓋内圧管理の段階的手法、の3 つについて提示したい。また自験例を紹介しつつ、初期治療から周術期治療、慢性期治療に至るシームレスケアを考察し、神経集中治療医の観点から患者転帰改善を目指した治療戦略を検討したい。