ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ページ
206/910

このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている206ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-204-EL33大阪大学 栄養ディバイス未来医工学共同研究部門井上 善文どの病院にもNSTが設立されて、栄養管理が適正に実施されるようになり、全体としての栄養管理レベルが上がっていると思われますか?否です。栄養管理レベルは、上がってはいません。むしろ、低下していると思います。その結果は、私が個人的に実施している試験結果でお示しします。 医学教育の中で、臨床栄養は非常に軽視されています。医学部の教育として、いったい、臨床栄養学に何時間が費やされているでしょうか。ということは、栄養管理の基本中の基本も理解されずに、臨床の現場で栄養管理が実施されているという、恐ろしい現実があることを意味しています。 経腸栄養剤や輸液のカロリー計算ができますか? TPNのキット製剤を用いて静脈栄養を行っているはずですが、それらの組成を理解していますか?キット製剤のグルコースとアミノ酸の比率は、どうやって決められているのでしょうか。輸液製剤のNPC/N 比はいくらか、知っていますか? NPC/N 比が計算できますか?脂肪乳剤を投与すると、NPC/N比はどうなるのでしょうか?脂肪乳剤はTPNラインに側注の形で投与してもよいのでしょうか?経腸栄養剤がその成分によって分類されているのを理解していますか?経腸栄養剤の水分含有量を理解して水分バランスを計算していますか?経腸栄養剤のたんぱく強化型ではNPC/N比はどうなっているのでしょうか。NPC/N比が高い、低い、これは、何を意味しているのでしょうか、どう対応すればいいのでしょうか。ビタミンは、どれだけの量を投与しないといけないのでしょうか。日本で発売されている微量元素製剤は1種類ですが、含有されている微量元素5種類を知っていますか?経腸栄養においても微量元素欠乏症は発生しますが、なぜ?長期TPN症例ではセレン欠乏症が発生することがありますが、どう対応すればいいのでしょうか。成分栄養剤だけで経腸栄養を実施していると、必須脂肪酸欠乏症になりますが、知っていますか?どう対応すればいいのでしょうか。栄養管理を合併症を起こさずに有効に実施するためには、知っておかなければならない知識があります。合併症については、どういう管理をすれば合併症が起こるのか、それを理解しておけば、予防することができるはずです。 こういう栄養管理の基本中の基本について、説明したいと考えています。栄養管理に自信がある方は、ご遠慮ください。面白くもなんともないと思われるはずの教育講演ですから。教育講演 33 2月13日(土) 16:40~17:30 第12会場栄養管理の基本中の基本EL34国立成育医療研究センター 政策科学研究部森 臨太郎コクラン共同計画は1992 年にオックスフォードで設立された国際的な学術組織であり、コクラン共同計画によって、系統的レビューと呼ばれる、同じ研究課題に関して検討した研究を網羅的・系統的に検索しその結果を質に応じて吟味したうえで必要に応じて統計学的な統合を行う手法が確立された。これは研究者がやりたい研究をする世界から、臨床現場で必要な情報という視点で研究をまとめるというパラダイムシフトとなった。その後、瞬く間に医療全分野に広がり、現在52の分野で行われ、コクランレビューの結果を診療方針に応用していくことが根拠に基づく医療の同義語ともなるくらい浸透し、医療分野における十大発明の一つまで言われている。現在に至るまで120か国以上の研究者・医療者が参加し、5000 以上に上るレビューが作成され、世界中の保健医療分野に影響している。我が国でコクラン共同計画の活動が紹介されてから10 年以上たち、科学的根拠に基づく医療の考え方が少しづつ浸透しつつある状況である。昨年、コクラン共同計画の日本ブランチが、他のアジア諸国に後れを取って、正式に設立された。インターネット革命により、「情報」を軸に急速に医療も「地球化」している現状において、第三者として、地球規模で医療の最も信頼できる情報を提供しつづけているコクラン共同計画の動きは近未来の医療のカギとなる。一方、臨床研究の不正問題や、医療情報の電子化が進むにつれ、別の形の根拠に基づく医療も模索されはじめている。本講演では、こういった根拠に基づく医療の世界的な潮流を紹介しつつ、我が国の各医療分野の今後の展望について私見を述べるとともに、系統的レビューの手法と、コクラン共同計画で取り組んでいる最新の方法や課題を紹介する。教育講演 34 2月13日(土) 10:00~10:50 第13会場系統的レビューとコクラン共同計画