ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ページ
195/910

このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている195ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-193-EL121)札幌医科大学 医学部 集中治療医学、2)札幌医科大学 附属病院 臨床工学部升田 好樹1)、巽 博臣1)、千原 伸也2)周術期の血液浄化療法として最も頻度が高いものとして,慢性維持透析患者の術後血液浄化療法があげられる.近年では十分な術前管理により,術中,術後に大きな合併症を起こさず手術を終了し,回復することが可能となった.しかし,心大血管外科手術,長時間,大量輸液・輸血を必要とするような高度侵襲手術での水分管理は重要であり,その際には血液浄化療法が重要な役割を担っている.また,術前血液浄化療法を必要としない患者であっても心不全,腎障害などを有する患者では,術後,腎不全へと進展し,血液浄化療法を必要となる場合もある.急性腎不全の原因としては血管内容量の低下や腎毒性を有する薬剤の投与(造影剤など),腎血流が低下するショックの遷延によるものが考えられ,いずれも可逆的であるため,回復までの腎補助が重要となる.本教育講演では,慢性維持透析患者の心臓血管外科手術と非心臓手術である消化器外科,泌尿器科,整形外科術後などの血液浄化療法管理の実際を示す.さらに予期せずに術後急性腎不全へと進展し,急性血液浄化療法を施行した症例を提示し周術期血液浄化療法での施行モード,抗凝固薬の選択,ヘモフィルターの選択などについてその特性と病態との関連について解説する. 周術期の腎代替療法としての血液浄化療法以外には,感染症に対するドレナージ手術後の遷延するショックが重要な対象患者となる.汎発性腹膜炎や降下性縦隔炎などの感染巣に対する手術後に感染症のメディエータ対策として,急性血液浄化療法を施行することがある.従来の直接的エンドトキシン吸着療法に加え,近年ではサイトカインや種々のメディエータを吸着できるヘモフィルターを用いた急性血液浄化療法が可能となり,選択肢の幅が広がった.また,分子量の大きなメディエータ除去をより効率良く行うため,浄化量を増加させる急性血液浄化療法(high-volume high-flow CRRT)も選択肢の一つとしてあげられるように,術後急性期の血液浄化療法の選択肢が広がっている.感染症に関連する手術後のショックに対する吸着療法や腎代替療法施行に関する施行モードや条件選択の考え方などについて自験例を提示して解説する.教育講演 12 2月12日(金) 14:40~15:30 第10会場周術期における血液浄化療法EL13日本医科大学 多摩永山病院 救命救急センター田上 隆循環呼吸管理に苦渋する重症患者では、どのように、治療戦略を組み立てるのがよいか?治療戦略を立てる上では、判断根拠となる情報は、信頼性が高く客観的・定量的であることが望ましい。経肺熱希釈法を用いた循環呼吸動態モニターでは、循環動態のパラメータとして心拍出量に加え、心臓拡張末期容量や1 回心拍出量変動率が測定できる[1]。心臓拡張末期容量は、心臓の4 つの部屋(左右の心房と心室)に存在する血液量であり、理論的に心臓内の血液量を反映する。1 回心拍出量変動率は、呼吸サイクルのおける心拍出量の変動を定量的に評価して、「輸液反応性」を類推することができる。呼吸状態を示唆するパラメータとして、肺血管外水分量と肺血管透過性係数が算出される[2]。肺血管外水分量とは、肺胞腔及び間質の水分の総称であり、肺水腫の程度・重症度の本態を表す。肺血管透過性係数は、心原性肺水腫と非心原性肺水腫を鑑別することが可能である。これらの循環呼吸動態のパラメータと臨床情報を組み合わせることにより、適切な輸液管理を行い、合併症を減らせる可能性が示唆されている[1, 3]。本講演では、循環呼吸動態の基本的な事項と各種パラメータの妥当性を、職種を問わず、経肺熱希釈法についてみたことも聞いたことも無い方にも理解いただけるように概説する。得られたデータを、どのように実際の治療方針決定に反映させていくかを、最新の文献を元に考察する。参考文献 1. Tagami, T., et al., Optimal range of global end-diastolic volume for fluid management afteraneurysmal subarachnoid hemorrhage: a multicenter prospective cohort study. Crit Care Med, 2014. 42(6): p. 1348-56. 2.Tagami, T., et al., Quantitative diagnosis of diffuse alveolar damage using extravascular lung water. Crit Care Med, 2013. 41(9):p. 2144-50. 3. Tagami, T., et al., Early-phase changes of extravascular lung water index as a prognostic indicator in acuterespiratory distress syndrome patients. Ann Intensive Care, 2014. 4(1): p. 27.教育講演 13 2月12日(金) 15:40~16:30 第10会場血行動態モニタリング:心拍出量・心拍出量変動率・心臓拡張末期容量・肺血管外水分量・肺血管透過性係数