循環器集中治療委員会
Cardiovascular Intensive Care Committeeお知らせ
- 2024/5/13
【委員会開催・関連セッション】に「教育講演1 ガイドラインを知る『改訂版 心筋炎の診断・治療に関するガイドライン』」を掲載しました。
- 2024/5/13
【委員会開催・関連セッション】に「ジョイントシンポジウム『Tele-ICU/CCU による循環器集中治療の発展』」を掲載しました。
- 2024/4/23
【トピックス】に「カルディオオンコロジー ‐集中治療と癌の関わり‐」を掲載しました。
- 2024/4/23
【委員会名簿】【事業計画】を更新しました。
- 2023/11/30
【トピックス】に「敗血症・敗血症性ショックに対するβ遮断薬投与は善か悪か?」を掲載しました。
- 2023/6/12
【トピックス】に「敗血症性心筋症 - 集中治療医と循環器医の連携の重要性 -」を掲載しました。
- 2023/5/8
【委員会開催・関連セッション】に第50回日本集中治療医学会学術集会の座長コメントを掲載しました。
- 2023/4/26
【委員会名簿】【事業計画】を更新しました。
- 2023/4/10
「CCU委員会」は「循環器集中治療委員会」に名称変更しました。
- 2023/2/15
【トピックス】に「CCUにおける早期心リハ」を掲載しました。
- 2023/2/10
【トピックス】に「PCAS・ECPRセミナー開催報告」を掲載しました。
- 2022/8/2
【トピックス】に「循環器集中治療と終末期・緩和ケア」を掲載しました。
- 2022/5/27
【トピックス】に「平盛勝彦先生を偲ぶ」を掲載しました。
- 2022/5/16
CCU委員会メンバーが中心となり『入門 ケースから学ぶ循環器集中治療ドリル』を出版しました。【トピックス】に紹介記事を掲載します。
- 2022/4/21
【委員会開催・関連セッション】に第49回日本集中治療医学会学術集会の座長コメントを掲載しました。
- 2022/4/15
【トピックス】に「地域を究極のCCUへ」を掲載しました。
- 2022/4/11
【委員会開催・関連セッション】に第86回日本循環器学会学術集会の座長コメントを掲載しました。
- 2022/4/11
【委員会名簿】【事業計画】を更新しました。
- 2022/03/14
【委員会開催・関連セッション】に第49回日本集中治療医学会学術集会を掲載しました。
- 2022/02/15
【委員会開催・関連セッション】に第86回日本循環器学会学術集会を掲載しました。
- 2022/01/05
【関連学会】に日本冠疾患学会を掲載しました。
- 2021/12/22
【トピックス】に「新たな局面に入った心不全診療:新規薬物治療と心筋代謝学」を掲載しました。
- 2021/12/16
【委員会開催・関連セッション】に第49回日本救急医学会総会の座長コメントを掲載しました。
- 2021/12/10
【委員会開催・関連セッション】に第35回日本冠疾患学会学術集会を掲載しました。
- 2021/12/10
【関連学会】タブを新設し、日本心血管インターベンション治療学会を掲載しました。
- 2021/11/25
【委員会開催・関連セッション】に第48回日本集中治療医学会学術集会と第85回日本循環器学会学術集会の抄録、および座長コメントを掲載しました。
- 2021/10/28
【委員会開催・関連セッション】に第49回日本救急医学会総会と第48回日本集中治療医学会学術集会座長コメントを掲載しました。
- 2021/10/12
【トピックス】に「COVID-19に続発するMIS-C(小児多系統炎症性症候群)について−成人領域への注意喚起−」を掲載しました。
- 2020/12/10
CCU委員会の委員会ページを公開しました。
循環器集中治療委員会について
循環器集中治療委員会 活動内容
循環器集中治療委員会が携わった刊行物
定価4,400円(税込)の紹介
職場や職種に関わらず、どうぞご覧くださいますようよろしくお願い申し上げます。
本書の原案は、2018年9月に開催された第66回 日本心臓病学会学術集会(会長:増山理先生)の会長特別企画『ケースに学ぶセッション:心臓血管系の集中治療』を日本集中治療医学会CCU委員会が担当企画したことがきっかけとなりました。学術集会では若手医師が症例を提示し、日本集中治療医学会CCU委員会メンバーと議論しながら循環器集中治療の重要なポイントを共有する趣旨でセッションを進行しました。そして、学術集会会場の盛況さとその後の反響から書籍化が決まりました。 本書の構成は、この上記学術集会のケースに学ぶセッション企画を踏襲しつつ、全体を大きく「重症心不全管理」「補助循環装置」「体温管理療法」「他の専門医との連携を要する循環器系集中治療管理」の4章にテーマ分けしております。
各章のテーマごとに、①基本知識をまとめた「これだけは知っておきたい!〇〇の基本」、②学術集会で発表された症例を提示し、その症例についてのオリジナルクイズと解説を加えた「caseとクイズで学ぶ〇〇の実践」、③知識の総仕上げとして「完全攻略! 〇〇の総まとめ」、という順に解説しています。とくに②は、学術集会開催当時の演者本人を症例提示の執筆者に迎え、日本集中治療医学会CCU委員会のメンバーが中心となりクイズと解説を作成しており、オリジナリティに溢れた内容です。実際の症例と経過・治療内容について臨場感をもって学べるとともに、クイズ形式で楽しみながら循環器集中治療のキホンと実践を身につけていただける、今までにないものとなっているかと思います。
『ケースに学ぶセッション:心臓血管系の集中治療』の企画担当を日本集中治療医学会CCU委員会にご提案いただけなければ本書は世に出なかったことになりますので、増山先生はまさに本書の生みの親です。この場を借りて心より深謝申し上げます。
また、このようなチャンスをいただけたのは、歴代の日本集中治療医学会CCU委員会の諸先輩のご尽力の賜物と敬意を表する次第です。
委員会名簿
過去の委員会名簿
循環器集中治療委員会 Cardiovascular Intensive Care Committee
委員長 | 今村 浩 | 国立大学法人 信州大学医学部附属病院救急科 |
副委員長 | 竹内 一郎 | 公立大学法人 横浜市立大学附属市民総合医療センター 高度救命救急センター |
委員 | 澤村 匡史 | 済生会熊本病院集中治療室 |
山本 剛 | 日本医科大学付属病院心臓血管集中治療科 | |
遠藤 智之 | 東北医科薬科大学病院救急科 | |
白壁 章宏 | 学校法人日本医科大学 日本医科大学千葉北総病院集中治療室 | |
田原 良雄 | 国立研究開発法人 国立循環器病研究センター心臓血管内科 | |
小林 欣夫 | 千葉大学大学院医学研究院 | |
伊波 早乃 | 日本医科大学武蔵小杉病院救命救急センター | |
桑原 政成 | 虎の門病院 循環器科 | |
アドバイザー | 大倉 宏之 | 国立大学法人 岐阜大学大学院医学系研究科 循環器内科学 |
担当理事 | 佐藤 直樹 | かわぐち心臓呼吸器病院循環器内科 |
CCU委員会 Cardiac Care Unit Committee
委員長 | 今村 浩 | 信州大学医学部 救急集中治療医学 |
副委員長 | 竹内 一郎 | 横浜市立大学附属市民総合医療センター 高度救命救急センター |
委員 | 菊地 研 | 獨協医科大学 心臓・血管内科 |
澤村 匡史 | 済生会熊本病院 集中治療室 | |
山本 剛 | 日本医科大学付属病院 心臓血管集中治療科 | |
遠藤 智之 | 東北医科薬科大学病院 救急部 | |
白壁 章宏 | 日本医科大学千葉北総病院 集中治療室 | |
田原 良雄 | 国立循環器病研究センター 心臓血管内科 | |
小林 欣夫 | 千葉大学大学院 医学研究院 循環器内科学 | |
アドバイザー | 大倉 宏之 | 岐阜大学大学院医学系研究科 循環器内科 |
担当理事 | 佐藤 直樹 | かわぐち心臓呼吸器病院 循環器内科 |
CCU委員会 Cardiac Care Unit Committee
委員長 | 伊藤 智範 | 岩手医科大学附属病院 循環器内科 |
副委員長 | 今村 浩 | 国立大学法人 信州大学医学部 救急集中治療医学 |
委員 | 菊地 研 | 学校法人獨協学園 獨協医科大学 心臓・血管内科 |
澤村 匡史 | 済生会熊本病院 集中治療室 | |
山本 剛 | 日本医科大学付属病院 心臓血管集中治療科 | |
遠藤 智之 | 東北医科薬科大学病院 救急部 | |
白壁 章宏 | 学校法人日本医科大学 日本医科大学千葉北総病院 | |
竹内 一郎 | 公立大学法人 横浜市立大学附属市民総合医療センター 高度救命救急センター | |
田原 良雄 | 国立循環器病研究センター 心臓血管内科 | |
外部委員 | 小林 欣夫 | 千葉大学大学院 医学研究院 循環器内科学 |
担当理事 | 佐藤 直樹 | かわぐち心臓呼吸器病院 循環器内科 |
CCU委員会 Cardiac Care Unit Committee
委員長 | 伊藤 智範 | 岩手医科大学附属病院 循環器内科 |
副委員長 | 今村 浩 | 国立大学法人 信州大学医学部 救急集中治療医学 |
委員 | 上田 恭敬 | 独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター循環器内科 |
西山 慶 | 新潟大学大学院医歯学総合研究科 救命救急医学分野 | |
菊地 研 | 学校法人獨協学園 獨協医科大学 心臓・血管内科 | |
澤村 匡史 | 済生会熊本病院 集中治療室 | |
山本 剛 | 日本医科大学付属病院 心臓血管集中治療科 | |
遠藤 智之 | 東北医科薬科大学病院 救急部 | |
白壁 章宏 | 学校法人日本医科大学 日本医科大学千葉北総病院 | |
竹内 一郎 | 公立大学法人 横浜市立大学附属市民総合医療センター 高度救命救急センター | |
担当理事 | 佐藤 直樹 | かわぐち心臓呼吸器病院 循環器内科 |
CCU委員会 Cardiac Care Unit Committee
委員長 | 伊藤 智範 | 岩手医科大学附属病院 循環器内科 |
副委員長 | 今村 浩 | 国立大学法人 信州大学医学部 救急集中治療医学 |
委員 | 上田 恭敬 | 独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター循環器内科 |
西山 慶 | 新潟大学大学院医歯学総合研究科 救命救急医学分野 | |
菊地 研 | 学校法人獨協学園 獨協医科大学 心臓・血管内科 | |
澤村 匡史 | 済生会熊本病院 集中治療室 | |
山本 剛 | 日本医科大学付属病院 心臓血管集中治療科 | |
遠藤 智之 | 東北医科薬科大学病院 救急部 | |
白壁 章宏 | 学校法人日本医科大学 日本医科大学千葉北総病院 | |
竹内 一郎 | 公立大学法人 横浜市立大学附属市民総合医療センター 高度救命救急センター | |
担当理事 | 佐藤 直樹 | かわぐち心臓呼吸器病院 循環器内科 |
事業計画
Ⅰ. 活動目標
全国で質の高い心血管集中治療が提供されるように、集中治療医学と循環器病学双方を発展させ、循環器集中治療に関する啓発活動を行い、課題を解決していく。Ⅱ. 活動計画
1.学術集会における循環器関連企画の立案と推進
以下の学術集会において循環器集中治療に関する企画を検討し、テーマの選定や座長・演者の推薦を行う。
1.学術集会における循環器関連企画の立案と推進
以下の学術集会において循環器集中治療に関する企画を検討し、テーマの選定や座長・演者の推薦を行う。① | 第52回日本集中治療医学会学術集会(2025年3月) |
② | 第89回日本循環器学会学術集会(2025年3月) |
③ | その他(日本心臓病学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本救急医学会など) |
2.循環器集中治療に関する最新情報の提供
本会会員に対して集中治療に必要な循環器病学に関する最新情報を提供する。① | 書籍企画 |
心血管集中治療に必要な国際標準の知識と実践をまとめ、若手医師に役立つマニュアル書を作成する。 | |
② | 機関紙における情報提供 |
③ | 循環器集中治療委員会ホームページにおける情報提供 |
循環器集中治療に関する国内外のトピックスや学会セッションなどリアルタイムの情報を提供する。 |
3.循環器救急・集中治療の推進に関する課題の検討
日本循環器学会や本学会他委員会との共同活動として、循環器救急・集中治療をさらに発展させるための課題について検討を行う。① | CCU施設基準 |
② | 特定集中治療管理料 |
③ | メディカルコントロール体制 |
④ | 循環器病対策推進計画 |
⑤ | 診療報酬関係(社会保険委員会との連携) |
4.循環器集中治療に関するトレーニングの開催と支援
① | PCAS/ECPRセミナー(ハンズオンセミナー、継続)の開催 |
② | 循環器集中治療セミナー(メディカルスタッフ対象の座学セミナー、新規)の企画立案と開催 |
③ | 心エコーセミナー(ハンズオンセミナー、新規)について検討、企画立案、開催 |
④ | 日本循環器学会が開催しているPCASトレーニングセミナーの共催 |
過去の事業計画
Ⅰ.活動目標
全国で質の高い心血管集中治療が提供されることを推進すべく、集中治療医学と循環器病学双方を発展させ、循環器集中治療に関する啓発活動を行い、課題について協議する。
Ⅱ. 活動計画
1.学術集会における循環器関連企画の立案と推進
以下の学術集会において循環器集中治療に関する企画を検討し、テーマの選定や座長・演者の推薦を行う。
① 第51回日本集中治療医学会学術集会(2024年3月)
② 第88回日本循環器学会学術集会(2024年3月)
2.循環器集中治療に関する最新情報の提供
本会会員に対して集中治療に必要な循環器病学に関する最新情報を提供する。
① 書籍企画
心血管集中治療に必要な国際標準の知識と実践をまとめ、若手医師に役立つマニュアル書を作成する。
② 機関紙における情報提供
③ 循環器集中治療委員会ホームページにおける情報提供
循環器集中治療に関する国内外のトピックスや学会セッションなどリアルタイムの情報を提供する。
3.循環器救急・集中治療の推進に関する課題の検討
日本循環器学会との共同活動として、循環器救急・集中治療をさらに発展させるための課題について検討を行う。
① CCU施設基準
② 特定集中治療管理料
③ メディカルコントロール体制
4.循環器集中治療に関するトレーニングの支援と開催
① PCAS/ECPRセミナーの開催
② 日本循環器学会が開催しているPCASトレーニングセミナーの共催
③ メディカルスタッフ向けセミナーの企画
Ⅰ.目標
1. CCU加算の新設について、日本循環器学会とのWGを設置して、厚労省へ働きかけを行っていく。
2. 定期的に、書籍や委員会からのステートメントなどを出版していく。
3. 対面ならびにオンライン開催可能な循環器集中治療セミナーを企画する。
Ⅱ.年間活動計画
1.2022年4月と10月に委員会を開催する(場合によってオンライン開催)。
2.CCU加算の新設について、日本循環器学会とのWGを設置して、厚労省へ働きかけを行っていく。
3.定期的に、書籍や委員会からのステートメントなどを出版するよう、出版社や学会雑誌編集委員会と連携した活動を行う。
4.ほかの学会との定期的なジョイントセッションを提案していく。
5.オンラインでも開催可能な循環器集中治療セミナーを企画していく。とくに心エコーセミナーは、超音波画像認定制度WG(委員長野村岳志先生)とも連携して実施する。
6.情報発信を持続的に行うため、HPの定期的更新を行う。
Ⅰ.目標
集中治療医学と循環器病学の双方の発展のために、循環器集中治療に関する啓発活動を推進するとともに、課題について協議する。
Ⅱ.活動計画
学術集会における循環器関連企画の立案と推進
以下の学術集会において循環器集中治療に関する企画を検討し、テーマの選定や座長・演者の推薦を行う。
① 第49回日本集中治療医学会学術集会(2022年3月18日―20日仙台)
② 第86回日本循環器学会学術集会(2022年3月)
ほか、各種循環器関連学会との連携を行い、セッションを企画する。
循環器集中治療に関する最新情報の提供
本会会員に対して集中治療に必要な循環器病学に関する最新情報の提供を学術集会や機関誌を通して実施する。
① “循環器の救急・集中治療”に関する書籍企画
心臓血管系の集中治療・管理に関して現在における最新知識と実践をまとめ、集中治療の現場で日々苦慮している若手医師に役立つ書籍を発刊する。
② 開設されたCCU委員会ホームページの有効活用
循環器集中治療に関する最新の情報提供を行う。
循環器集中治療の推進に関する課題
日本循環器学会と循環器集中治療をさらに発展させるための課題について検討を行う。
① CCU施設基準の改訂作業(2004年作成版、改定日:2007年3月24日)
② 特定集中治療管理料(日本循環器学会との共同活動として合同WGを設置)
循環器集中治療に関するトレーニングの支援と開催
日本循環器学会が心停止自己心拍再開後集中治療のためのシミュレーションコースとして開催しているPCASトレーニングの企画・運営を支援し共同開催を企画する。
① 日本集中治療医学会学術集会前日のハンズオンセミナーの開催
② 日本循環器学会が開催しているPCASトレーニングセミナーの後援
Ⅲ.会議開催数 2回予定 web開催もあり
Ⅰ.目標
集中治療医学と循環器病学の双方の発展のために、循環器集中治療に関する啓発活動を推進するとともに、課題について協議する。
Ⅱ.活動計画
- 学術集会における循環器関連企画の立案と推進
以下の学術集会において循環器集中治療に関する企画を検討し、テーマの選定や座長・演者の推薦を行う。
① 第48回日本集中治療医学会学術集会(2021年2月・神戸)
② 第85回日本循環器学会学術集会(2021年3月・横浜) - 循環器集中治療に関する最新情報の提供
本会会員に対して集中治療に必要な循環器病学に関する最新情報の提供を学術集会や機関誌を通して実施する。
① “循環器の救急・集中治療”に関する書籍企画
心臓血管系の集中治療・管理に関して現在における最新知識と実践をまとめ、集中治療の現場で日々苦慮している若手医師に役立つマニュアル書を作成する。
② CCU委員会ホームページの開設
循環器集中治療に関する最新の情報提供を行う。 - 循環器集中治療の推進に関する課題の検討
日本循環器学会との共同活動として、循環器集中治療をさらに発展させるための課題について検討を行う。
① CCU施設基準
② 特定集中治療室管理料 - 循環器集中治療に関するトレーニングの支援と開催
日本循環器学会が心停止自己心拍再開後集中治療のためのシミュレーションコースとして開催しているPCASトレーニングの企画・運営を支援し共同開催を企画する。
① 日本集中治療医学会学術集会前日のハンズオンセミナーの開催
② 日本循環器学会が開催しているPCASトレーニングセミナーの後援
Ⅰ.目標
集中治療医学と循環器病学の双方の発展のために、循環器集中治療に関する啓発活動を推進するとともに、課題について協議する。
Ⅱ.活動計画
- 学術集会における循環器関連企画の立案と推進
以下の学術集会において循環器集中治療に関する企画を検討し、テーマの選定や座長・演者の推薦を行う。
① 第47回日本集中治療医学会学術集会(2020年3月・名古屋)
② 第84回日本循環器学会学術集会(2020年3月・京都)
- 循環器集中治療に関する最新情報の提供
本会会員に対して集中治療に必要な循環器病学に関する最新情報の提供を学術集会や機関誌を通して実施する。
① “循環器の救急・集中治療”に関する書籍企画
心臓血管系の集中治療・管理に関して現在における最新知識と実践をまとめ、集中治療の現場で日々苦慮している若手医師に役立つマニュアル書を作成する。
- 循環器集中治療の推進に関する課題の検討
日本循環器学会との共同活動として、循環器集中治療をさらに発展させるための課題について検討を行う。
- 循環器集中治療に関するトレーニングの支援と開催
日本循環器学会が心停止自己心拍再開後集中治療のためのシミュレーションコースとして開催しているPCASトレーニングの企画・運営を支援し共同開催を企画する。
CCUの役割と基準
- ACSと診断され、短期リスクが比較的高いと判断された場合には、入院早期の厳密な管理を行うためにCCUへの入院を考慮するべきである。とくに急性心筋梗塞発症早期の管理は、CCUまたはそれに準じた施設で行われることが望ましい。
- GRACEリスクスコアの算出はやや複雑であるが、インターネット上で算出することができ、救急診療でも利用しやすく、臨床的有用性に関する検証も多い。
- ACSに対する現在のCCUの役割として、致死性不整脈の管理だけでなく、不安定な血行動態や心不全、虚血再灌流療法後の新たな合併症の監視や治療も担っている。
- Cardiac Care Unitとして心不全、不整脈、心筋炎、急性大動脈解離、急性肺血栓塞栓症などの重症心血管疾患患者をできるだけ早期に収容し、治療を開始することを主目的として設置されている。
- 日本集中治療医学会の「CCU設置のための指針」は、CCUの全病床を「循環器内科が担当する重症患者」の治療に使用する集中治療病棟と定義している。
- CCUに専従する医師が常時CCU内に勤務していることとし、専従医には、日本集中治療医学会が認定した集中治療専門医、または日本循環器学会が認定した循環器専門医など、循環器救急に指導的立場にある医師を1人以上含むこと。
- 心臓外科医および麻酔科医については、当該施設内に勤務していること。
- 看護師については、常時、患者2人に1人以上の割合でCCU内に勤務していることとし、必要時には患者1.5人に1人以上の看護師を配置できる体制を整備しておくこと。
- 現在、保険償還上CCUに特化した施設基準はなく、general ICUの一部をCCU用の病床として使用する。
- 急性心臓疾患患者に対する集中治療はより高度な監視を要すると考えられ、非心臓疾患患者の集中治療とは異なる面も多い。
▼https://www.jsicm.org/publication/kaikoku_ccu_secchikijun.html
委員会開催・関連セッション
会期/開催地:2024年3月14日-3月16日/ロイトン札幌
〇教育講演1 ガイドラインを知る「改訂版 心筋炎の診断・治療に関するガイドライン」
座長コメント:今村 浩 急性心筋炎、特に劇症型心筋炎は稀な疾患ですが、ICUには一定の頻度で入室してきます。 本症はICUに入室する他の疾患に比べると、症例ごとに経過が異なり、状態も短時間で変化するため、 集中治療医やICUのメディカルスタッフにとっては「予測のつかない難しい疾患」というイメージがあります。 また近年の機械的循環補助や右心カテーテルの使用増加等もあって、関心の高い疾患です。 本セッションでは、まず2023年改訂版ガイドライン合同研究班の班長である北海道大学永井先生より、 広範なガイドラインの内容の中からICUスタッフにとって必要な部分を概説していただきました。 診断における心筋生検やMRIの意義、免疫抑制療法と免疫調節療法(静注免疫グロブリン) の位置づけについてエビデンスに基づいたクリアな説明をいただき、さらに重症例の機械的循環補助については、 右室機能低下例が多いためVA-ECMOを中心に考えることや、離脱における注意点など、 ICUで心筋炎患者を管理する上で必要となる事項を効率よく学ぶことができました。 続いて副班長である新潟大学猪又先生からは、心不全という状態への介入と病因への介入を区別して意識するという原則を示された上で、 救急・集中治療医に是非知ってもらいたい疾患として、免疫チェックポイント阻害薬関連心筋炎のお話がありました。 最近本症が増加していること、致死率が高いこと、当該薬剤の中止とステロイドパルス療法が必要なこと、 腫瘍を扱う医師と循環器医、集中治療部門との連携が重要であることなどが強調されました。 その後、心筋炎全般についてインパクトのある症例提示をいただき、 病因への介入については循環器医も悩みながら行っている現状を集中治療医にも共有することができました。 重症患者の管理においては、多専門医と多職種が認識を共有し、同じ方向を目指して行うことが成功につながります。 本教育講演により、全国のICUスタッフの心筋炎に対する理解が深まり、治療成績が向上することを期待します。 座長:今村 浩 (信州大学 救急集中治療医学)
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学術集会名:第88回日本循環器学会 学術集会
会期/開催地:2024年3月8日-3月10日/神戸ポートピアホテル
〇ジョイントシンポジウム「Tele-ICU/CCU による循環器集中治療の発展」
座長コメント:今村 浩 遠隔集中治療(Tele-ICU)システムは、情報通信技術を利用して複数のICUをネットワーク化し、 オフサイトの集中治療専門医や専門看護師が様々な患者情報をリアルタイムに共有し、 現場の医師や看護師に助言等を行うものです。 当学会からは2023年5月に「遠隔ICU設置と運用に関するガイドライン改訂版」が公表されています。 本シンポジウムは日本循環器学会と合同で開催され、 我が国の循環器集中治療の発展のためTele ICU/CCUが果たす役割について議論が行われました。 実際のTele-ICUについては、当学会遠隔ICU委員長である横浜市立大学高木先生、 昭和大学とその関連施設でTele-ICUを運用している集中治療科喜久山先生と循環器内科近藤先生から、 欧米の状況やエビデンス、現在我が国で用いられているシステムの概要や運用、 活用法とその効果などについて具体的な例を用いてそれぞれ発表がありました。 聴衆の大部分を占める循環器医にとってきわめて興味深い内容で、Tele-ICUの理解を深めるよい機会になったと思います。 日本医大山本先生からは東京都CCUネットワークにおけるICTの活用について、 国循田原先生からは心不全パンデミック時代におけるTele-ICU/CCUの役割について発表がありました。 総合討論ではTele-ICUについて循環器医としてさらに詳しく知りたい内容について様々な質問があり、 最後に各演者から、Tele-ICU/CCUが循環器集中治療の今後の発展のために果たす役割について期待や提案を語っていただきました。 診療の標準化、集中治療医不足、地方での応用、働き方改革への対応など様々な切り口がありましたが、 その中でも循環器医と集中治療医との連携が容易になることや、双方向性の教育効果に特に大きな魅力が感じられました。 学会初日の早朝ではありましたが、 参加者にとってTele-ICU/CCUの持つ様々な可能性を強く実感できる貴重なセッションになったのではないかと思います。 シンポジウム2 Tele-ICU/CCU による循環器集中治療の発展 座長:今村 浩 (信州大学 救急集中治療医学) 伊藤 智範(岩手医科大学 内科学講座循環器内科分野/医学教育講座地域医療学分野)
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過去の委員会開催・関連セッション
会期/開催地:2023年3月2日―4日/国立京都国際会館、ザ・プリンス京都宝ヶ池
●日本集中治療学会 委員会開催・関連セッション
〇教育講演8 おいでやす白熱集中治療教室―心機能評価―
座長 白壁 章宏(日本医科大学千葉北総病院 集中治療室)
座長コメント 白壁 章宏 集中治療管理において、的確に心機能を評価することは非常に重要です。そこで、当セッションでは集中治療室での治療中に心がけるべきポイントを飯塚病院・集中治療科の川上大裕先生にご教授いただきました。 今回の教育講演では、“循環とは?”、“循環の維持とは?”、“心機能のモニタリング”の3つのテーマに沿ってご講演いただきました。“循環とは?”のテーマでは、基礎知識に基づきGuytonの静脈還流曲線やFrank-Starling曲性を分かりやすく概要いただきました。また、“循環の維持とは?”のテーマでは組織低酸素を推察することの重要性を提案いただき、乳酸値測定の意義、SvO2/SCVO2、CRT (Capillary Refill Time)など理解が難しい項目もわかりやすく概要いただきました。最後に“心機能のモニタリング”のテーマでは、輸液反応性という観点から静的指標・動的指標に分けて講演いただきました。静的指標として、スワンガンツカテーテル・心エコー検査から得られるそれぞれの指標の活用方法をForrester分類、Nohria-Stevenson分類をもとにご説明いただき、動的指標として、輸液チャレンジ、受動的下肢挙上テスト(PLR)、IVC呼吸性変動、1回拍出量変動(SVV)/脈圧変動(PVV)などを概要いただきました。60分の短時間ではありましたが、理解が難しい内容を非循環器集中治療医の先生方や他の医療従事者の方にもわかりやすくご説明いただき、とても意義のある教育講演となったと思います。 |
パネルディスカッション
〇パネルディスカッション7
敗血症性心筋障害とはなんだろうか?
座長:今村 浩(信州大学 救急集中治療医学)
遠藤 智之(東北医科薬科大学病院 救急科)
座長コメント 遠藤 智之 本パネルディスカッションでは、病態・診断・治療についてまだまだ不確定要素の多い「敗血症性心筋障害」に関して、文献レビュー、基礎研究、心筋ブドウ糖代謝に注目した治療(高インスリン血症・正常血糖療法)、VA-ECMOに至るまで、幅広い内容を4名の演者にご発表いただいた。文献レビューでは、1984年にParkerらが本病態をシネアンギオで明らかにしてから40年近く経過し、心エコーの普及により本病態の存在が次第に周知されてきているにもかかわらず、未だに診断基準がないために、良質な臨床研究が生まれてこないことが指摘された。基礎研究に関する発表では、ミトコンドリア代謝障害に注目して、マウスのCLP敗血症モデルにおいて脂質代謝に介入することで予後が改善することが示され、新規治療ターゲットの可能性が示唆された。高インスリン血症・正常血糖療法に関する発表では、単施設のケースシリーズではあるが、ブドウ糖代謝に介入することで心収縮力増強・心拍出量増加が得られる可能性が示された。更に心原性ショックに陥った際のVA-ECMOについて、経験豊富な施設から良好な成績が示された。心筋障害は可逆的であり、原疾患の治療がうまく行けば救命できる可能性が高い。特に本病態は右心不全の合併が多いため、VA-ECMOは非常に理にかなった循環補助であることが示された。ディスカッションでは本病態の診断(右室評価を含めた心機能評価)、心筋代謝に注目した治療(インスリン、β遮断薬)について新たなエビデンスの創出が必要であることが確認された。また、意外なことに循環器科領域では本病態の認知は進んでおらず、早期診断や補助循環を含めた集学的治療において、救急・集中治療側から循環器科医にアプローチしていく必要性があることが確認された。 |
〇パネルディスカッション27
重症循環器疾患における多臓器障害を考える
座長:竹内 一郎(横浜市大救急医学/高度救命救急センター))
今村 浩(信州大学 救急集中治療医学)
座長コメント 今村 浩 多くのICUにおいて、心大血管術後や重症心不全など循環器患者が占める比率は高く、機械的循環補助デバイスの進歩などにより入室期間も長期化しています。その中で、「心臓は良くなったが〇〇で失った」という例は多く、重症循環器患者の救命・社会復帰のためには多臓器障害を如何に管理するかがきわめて重要な課題になっています。本セッションでは、循環器集中治療領域でご活躍されている5名のパネリストからこの課題について様々な観点から発表いただき討論を行いました。 松村先生(山形県立中央病院)は障害臓器毎に、集中治療医と循環器医の連携の状況とより良い方法について報告されました。我が国の多くの循環器患者がopen modelのICU/CCUで管理されている現状の中で、elective consultationの効果を最大限発揮するためには何が必要か参考になる貴重な発表でした。中村先生(奈良県総合医療センター)は、新たに設立したclosed ICUにおいて循環器患者管理体制が構築された経緯を、心原性ショック例の素晴らしい治療成績も示しながら紹介されました。嘉嶋先生(信州大学)は、ICU liberation bundleを導入して包括的な管理を行うことにより、循環器領域においてもPICS対策を含めた予後改善が得られることを、ECPR症例を用いて示されました。救命できない患者のことも考慮した視点に対しては新鮮に感じた人も多かったのではないかと思います。 今回のセッションは、循環器疾患の臓器障害としては珍しく、消化管に目を向けたことも特徴でした。齋藤先生(自治医科大学)からは、CCUにおいて早期経腸栄養をプロトコル化することによる栄養管理の標準化の試みが報告され、適応や胃残への対応などプロトコルを厳密に守れば、意外と重症循環器患者でも早期経腸栄養が可能であることが報告されました。また重田先生(東邦大学大橋病院)からは急性腸間膜虚血と消化管出血の早期発見と対応、その限界等について、機械的循環補助を要する超重症例を提示しながら報告がありました。ここでも複数診療科の連携の重要性が強調されていました。 総合討論は①循環器医と集中治療医との連携 ②重症循環器疾患に合併した呼吸不全/呼吸管理 ③重症循環器疾患に合併した消化器障害/消化管・栄養管理に的を絞って充実した意見交換が行われ、視聴者にとっても非常にためになるパネルディスカッションになったと思います。 |
〇ワークショップ
クイズで学ぶ循環器集中治療2023
座長:菊地 研(獨協医科大学救命救急センター)
田原 良雄(国立循環器病研究センター心臓血管内科)
基調講演:心原性ショックの急性期診療―救急診療から集中治療までを極める―
田中 哲人(名古屋大学医学部附属病院循環器内科)
症例提示1―心原性ショックを疑う症例の判断―
桐ヶ谷 仁(横浜市立大学附属市民総合医療センター高度救命救急センター)
症例提示2―ショック症例に対する初期診療医の役割り―
中山 尚貴(神奈川県立循環器呼吸器病センター循環器内科)
症例提示3―ショック症例に対する心血管作動薬の選択―
山本 正啓(熊本大学大学病院地域医療ネットワーク推進学寄附講座)
症例提示4―急性冠症候群によるショック症例に関する治療の優先順位―
片迫 彩(国立循環器病研究センター心臓血管内科)
症例提示5―心原性ショック症例の集中治療室における管理―
中島 啓裕(ミシガン大学救急集中治療医学)
座長コメント 田原 良雄 このワークショップ[参加体験型講座]の対象者は、ショック診療に携わる医療従事者[救急隊、看護師、臨床検査技師、臨床工学技士、薬剤師、医師(一般臨床医師、初期診療医、救急医、循環器医、集中治療医)]すべてとした。 演者は、日本循環器学会 救急蘇生ガイドライン検討会のShock Groupのメンバーである。基調講演ではショックの分類や心原性ショックの判断について解説した。症例1では心原性ショックを疑う症例を提示し、救急隊による病院前通知や病院選定から初期対応者(救急隊員、看護師、開業医)による対応やRapid Response Systemの担当者も知っておくべき内容を示した。症例2では原因が同定されていないショック患者について初期診療医(医師現場派遣や救急外来初期診療医)の対応について医師現場派遣のメリットやエコーの有用性を示した。症例3では原因が同定されていないショックに関する救急外来での初期治療のなかでもショックに対する心血管作動薬(血管収縮薬や強心薬)について選択肢を提示して解説した。症例4では急性冠症候群について救急外来から循環器専門医・カテーテル室への連携を題材に血行再建術と補助循環装置のどちらを優先すべきかと補助循環装置の選択について最新のエビデンスを示し再灌流療法と補助循環装置に関する循環器専門医と集中治療専門医の連携の重要性についても言及した。症例5では心原性ショック症例の集中治療室における管理について乳酸値の推移や肺動脈カテーテルの適応と患者管理におけるモニタリングの有用性について紹介した。 参加者各自のスマートフォンでGoogle formを利用したアンサーアナライザーを使用してクイズ形式で進行することにより、会場の参加者の所属施設の現状や参加者各自の意見を把握しながら進めることができた。また、CCU委員会委員[白壁章宏(日本医科大学千葉北総病院)、澤村匡史(済生会熊本病院)、山本剛(日本医科大学付属病院)、佐藤直樹(かわぐち心臓呼吸器病院)]からの適切な発言による解説あり、集中治療に従事する医療従事者が循環器領域を理解するのに役立ち、循環器診療に対する垣根が低くなるのを感じた。 このような企画は本学会会員の循環器集中治療に対する理解を深めるために重要であり、今後も継続する必要がある。 |
〇ワークショップ
血行動態モニタリングを現場で活かすには
座長:清野 雄介(聖マリアンナ医科大学麻酔学教室)
山本 剛(日本医科大学付属病院心臓血管集中治療科)
座長コメント 山本剛 血行動態モニタリングは集中治療管理の基本である。一方でモニタリングデバイスの適応や選択、指標の解釈に苦慮する場合も少なくない。本ワークショップでは「血行動態モニタリングを現場に活かすためには」をテーマに4人のパネリストによる発表ならびに討議を行った。まず飯塚病院の川上大裕先生から、血行動態評価とは何かについて俯瞰し、モニタリングを行う際の前提知識について分かりやすい講演があった。モニタリングデバイスや指標の評価を時系列に、輸液のフェーズに合わせた展開で現場に活かせるよう工夫されていた。近森病院の細田勇人先生からは、肺動脈カテーテルと心エコー図で診る血行動態について、両者のメリット、デメリットを考慮しつつ、使い分けやどう臨床に活かしているかについて講演があった。両者の基本はもちろんのこと、肺動脈カテーテル指標を如何にして心エコー図を駆使して読み取るか、心エコーのベーシックレベルの所見、指標を主体に実践しやすい内容であった。神戸市立医療センター中央市民病院の下薗崇宏先生からは、敗血症患者の血行動態モニタリングの方法と治療への適用についての講演があった。敗血症患者の早期認識や適切な循環管理を行うために血行動態モニタリングは極めて重要であり、過剰輸液による弊害を予防するために輸液反応性を適切に評価すること、心拍出量などのマクロ循環の指標だけでなく、微小血管の流量分布異常や細胞内酸素利用障害等のミクロ循環の評価も行うべきと強調されていた。国立循環器病研究センターの澤田賢一郎先生からは、経皮的機械的循環補助患者の血行動態モニタリング法と治療や管理への適用法に関する講演があった。現場で苦慮することが多い補助循環装置からの離脱に関して、自施設の症例や血行動態の集積データから具体的なアプローチ法が提示され実践的な内容であった。いずれの講演も現場に活かせる分かりやすい内容で、多職種、若手からベテランまでが熱心に聴講していた。 |
〇ワークショップ
バイタルトーク 集中治療室で行う緊急ACP
座長 澤村 匡史(済生会熊本病院 集中治療室)
伊藤 香(帝京大学医学部附属病院 救急科)
座長コメント 澤村匡史 本ワークショップは、臨床倫理委員会による企画であるが、同委員会のアドバイザーという立場からCCU委員の筆者も座長をつとめた。 集中治療室では、残念ながら死亡する患者も少なくない。そして、そのような場合には患者自身が意思表示できない状態にあることが多く、家族らに状況を伝え、治療方針について協議しなければならなくなる。望みのない状況を伝えると、家族らは大きな衝撃を受け、不安と哀しみ、あるいは怒りも入り混じった複雑な感情を抱き、それを表出することもある。医療従事者は、このような場合にも患者のために最善の方針を探るべく努力しなければならない。その時には臨床倫理的知識のみならず、最悪の情報を受け取った家族らと協働して、患者にとっての最善の方針を探ることを目的としたコミュニケーションの技術も必要である。バイタルトーク(現かんわトーク)は、米国発祥の末期癌などの患者を対象にしたコミュニケーション技術であるが、これを集中治療室での患者・家族らに応用したトレーニングコースがあり、その一部がこのワークショップで披露された。内容は、このワークショップのパネリスト兼ファシリテーターをお願いした先生方や共同座長の伊藤香先生の著書「緊急ACP:悪い知らせの伝え方、大切なことの決め方」に詳述しているが、筆者の受けた印象では、Shared Decision Making(協働意思決定)のための技術である。患者・家族らと医療者との関係のモデルに、医学的情報を患者らに示し、方針を自分たちで決めてもらうという「情報共有合意モデル」がある。このモデルの誤った例として、医療従事者は情報を提供するのみで患者・家族らに決定を“丸投げ”してしまうことがある。多くは初めての経験で、医療の専門家でもない患者・家族らはさらに困難な状況に置かれてしまう。また、患者・家族らの意向を考慮せず、医療者の価値観を一方的に押しつける悪しきパターナリズムはその真逆の関係で、言うまでもなくこれも患者にとっての最善ではない。そのどちらでもなく、患者の意向を踏まえつつ、専門家たる医療従事者の知識と経験を合わせて、患者にとっての最善を探り方針を決めるために、患者・家族らの感情の動きも受け止めながら話し合うための技術がバイタルトークであり、その一端が示された。そして、注目したのは300名ほどに達した参加者の、この領域に対する造詣の深さである。終了後アンケートの回答の一例を挙げると、「コミュニケーションスキルを会得することはできたとして、うまく会話しつつパターナリスティックな意思決定をマスクしてしまうことにつながらないか心配しています。医師と患者の構造的な問題を現場で乗り越えるものだと思いますが、理論的(倫理的)な部分での議論は続けていくことになるのかなと思います」というのは、正しく的を射ているといえる。臨床倫理は医療行為を駆動し操る力を扱っているともいえるので、重症循環器疾患を治療する集中治療医にとっても、「なぜ、治療するのか」を常に意識しながら日々の診療に努めることが大切であることを再認識した。 |
会期/開催地:2022年3月18日~3月20日 / 仙台国際センター
ジョイントシンポジウム(JSY)
『最新のガイドラインを知る:集中治療医に必要な心血管リハビリテーションの新知識 ー集中治療室から始まるリハビリテーションの実際を知るー』
座長コメント:今村 浩 (信州大学 救急集中治療医学) 本セッションは、2021年改訂版「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン (日本循環器学会/日本心臓リハビリテーション学会)」が発表されたのを受けて行われました。 現在、集中治療室では多くの患者に早期離床/リハビリテーションが積極的に行われています。重症患者の早期リハビリには障壁となる患者側の要素がいくつかありますが、その一つが循環の問題です。多くの集中治療医は、低心機能や循環に不安のある患者の離床/リハビリには少なからぬ抵抗感を持っていると思います。 本セッションではまず研究班の班長である牧田先生から、ガイドラインのエッセンスを急性期中心に解説いただきました。心血管リハビリとは運動療法だけでなく、再発・再入院予防、危険因子是正、心理・社会的状態の是正まで見据えた「多面的・包括的リハビリテーションプログラム」であるという概念は、PICSとも関連し、集中治療医には印象的だったのではないかと思います。副班長である安先生からは、早期PCIや新規薬物療法などにより入院期間が短縮した、現代の心筋梗塞や重症心不全患者のICU/CCU内でのリハビリについて、ガイドラインを踏まえつつさらに踏み込んだ内容まで講演いただきました。心筋梗塞後心破裂の時期と血行再建との関連、心肺機能すなわち酸素供給能と筋肉代謝それぞれの回復の時間経過など、興味深いデータもお示しいただきました。最後に、心血管ICUでそれこそ極めつけの重症患者の早期リハビリに日々関わっておられるセラピストの平川先生からは、術後患者を中心に、症例を示しながら具体的な方法や工夫、注意点など、実践的な内容を講演いただきました。 総合討論では視聴者から多くの質問が寄せられて活発な議論が行われ、この領域への関心の深さが感じられました。座長である私自身も演者の先生方に質問したいことがいくつもあったのですが、時間が足りずかなわなかったほどです。いつか別の機会に、このテーマでさらに深い議論ができることを願っています。 |
①『集中治療医に必要な心血管リハビリテーションの新知識とガイドライン』
演者:牧田 茂(埼玉医科大学国際医療センター 心臓リハビリテーション科)
②『心筋梗塞と重症心不全のICU/CCUでの急性期治療とリハビリテーション』
演者:安 隆則(獨協医科大学 日光医療センター 心臓・血管・腎臓内科)
③『重症心臓血管外科術後患者に対する集中治療室からの早期リハビリテーション』
演者:平川 功太郎(榊原記念病院 リハビリテーション科)
パネルディスカッション
▼パネルディスカッション2(PD)
『集中治療における心不全患者の意思決定支援-患者の望む療養生活を支える-』
座長:茂呂 悦子(自治医科大学附属病院看護部)
①『急性心不全患者に対する意思決定支援をどのように行うのか? - 医師の立場から -』
演者:佐藤 直樹(かわぐち心臓呼吸器病院 循環器内科)
②『重症心不全患者のACPを含む意思決定支援を考える』
演者:今野 久美子(かわぐち心臓呼吸器病院)
③『事例検討会を通して考えるDNARが取得された高齢心不全患者に対する意思決定支援』
演者:池上 小也加(社会医療法人近森会近森病院)
▼パネルディスカッション9(PD)
『循環器医との連携:循環器集中治療の実践』
座長コメント:山本 剛(日本医科大学付属病院心臓血管集中治療科) 多くの循環器疾患や心臓外科術後では治療、管理の中で集中治療が必要となる。本パネルディスカッションでは、質の高い循環器集中治療を実践するための方策を5人のパネリストに発表いただき討論を行った。循環器集中治療では循環器専門医ならびに集中治療専門医の両者の連携が不可欠であり、循環器疾患についての十分な知識と多くの経験を踏まえた管理が望ましい一方で、他の臓器障害の評価、介入の判断、治療を踏まえた管理も重要となる。また、患者の病態および全身状態に対して共通の認識を持ちながらの管理も必要とされた。総合討論では連携を強化するための方策が議論され、両者の役割の明確な境界はなく、それぞれの専門部分を活かしながら積極的に関わっていくべきと論結した。キャリアの異なる比較的若手からベテランのパネリストと議論でき非常に有意義であった。 |
田原 良雄(国立循環器病研究センター心臓血管内科)
①『CCUで必要とされる集中治療専門医の役割、循環器専門医が集中治療専門医資格を有する意義』
演者:新井 真理奈(国立循環器病研究センター 心臓血管内科)
②『循環器疾患患者の集中治療室管理』
演者:上田 恭敬(国立病院機構大阪医療センター)
③『千葉大学医学部附属病院ICUにおける循環器医との連携』
演者:今枝 太郎(千葉大学大学院医学研究院 救急集中治療医学)
④『集中治療医からみた循環器集中治療』
演者:安宅 一晃(奈良県総合医療センター 集中治療部)
⑤『心臓外科術後早期回復ガイドラインと当院の周術期ケアとの比較』
演者:宮田 和人(ニューハートワタナベ国際病院)
▼パネルディスカッション16(PD)
『デジタル時代の循環器集中治療でのシミュレーション教育』
座長コメント:竹内 一郎(横浜市立大学救急医学 / 高度救命救急センター) 集中治療領域においてもstructure diseaseに対しての介入を主とした循環器治療においても「いかに次世代の医師、コメディカルを育てるか」は大きな課題となっている。 本セッションでは日本各地で最先端の取り組みを実践している演者に発表いただき、その後の全体討論で今後について課題や解決案について議論を行った。 深層学習やAIを取り入れたシミュレーション、リスク管理や医療安全の視点からの安全講習シミュレーション、そして現在の事象から「先を予測した」先行シミュレーションまで様々取り組みが取り上げられた。 今後ますますチーム医療が進むことは間違いない。それぞれの専門職の立場やスキルをいかし、医療の質をあげていくために、シミュレーション教育が果たすべき役割が大きいことを改めて実感した。 |
伊藤 智範(岩手医科大学内科学講座循環器内科分野 / 医学教育学講座地域医療学分野)
①『多様なモダリティを用いたECMOシミュレーション日本』
演者:遠藤 智之(東北医科薬科大学 救急・災害医療学)
②『集中治療に役立つSimArthurによる循環動態のシミュレーション教育』
演者:西川 拓也(国立循環器病研究センター 研究推進支援部)
③『集中治療室でのシミュレーションセンターの役割』
演者:仲 俊行(国際医療福祉大学 医学部 成田シミュレーションセンター / 国際医療福祉大学 医学部 医学教育統括センター)
④『効果・効率・魅力を高める循環器集中治療でのシミュレーション教育』
演者:政岡 祐輝(国立循環器病研究センター 医療情報部・教育推進部 / 熊本大学大学院社会文化科学教育部教授システム学専攻)
▼パネルディスカッション18(PD)
『高齢者の循環管理「高齢化社会における循環器集中治療」』
座長コメント:菊地 研(獨協医科大学救命救急センター) このセッションでは、高齢者の循環器集中治療を地域でどのように連携すべきか、演者はそれぞれ、救命救急センター、循環器専門クリニック、訪問診療クリニック、心不全に特化した訪問診療クリニック、地域包括ケアシステム中核病院の立場から講演されました。 白壁章宏先生は救命救急センターへ搬送された心不全高齢患者へ治療介入する難しさを伝え、横山広行先生は循環器専門クリニックでは血管病の発症で救急要請することは多いが、心不全での要請はそれほど多くないことを示しました。山本英世先生は心不全の既往がある高齢患者であっても治療の見通しの難しさを訪問診療の現状をまじえて発表し、弓野大先生は持続点滴や補助人工心臓(VAD)の装着など在宅で高度治療を受けている慢性心不全患者を地域で連携する重要性を説きました。福島正人先生は費用対効果と急性期から慢性期への治療の円滑さの点から地域包括ケアシステム中核病院を有効に使うべきと述べました。これら発表後はお互いの専門領域をどのように連携させて集中治療の枠を地域全体に広げていくべきか活発な議論が行われ、引き続き関連学会も交えて議論する必要性を感じました。 |
菊地 研(獨協医科大学救命救急センター)
①『高齢者の循環管理「高齢化社会における循環器集中治療」-集中治療室勤務医師の立場から-』
演者:白壁 章宏(日本医科大学千葉北総病院 集中治療室)
②『高齢化社会における循環器集中治療を実地医家の立場から考える』
演者:横山 広行(横山内科循環器科医院)
③『心不全患者の在宅診療』
演者:山本 英世(はなまるクリニック)
④『心不全在宅医療の立場から-在宅移行と集中管理の実際-』
演者:弓野 大(医療法人社団ゆみの)
⑤『予測される医療ニーズと医療資源の投入量に応じて、入院医療機関を選定することの重要性』
演者:福島 正人(本庄総合病院)
▼パネルディスカッション19(PD)
『集中治療における重症心不全に対する補助循環によるブリッジ -VA-ECMO, ECPELLA, VAD-』
座長:市場 晋吾(東京女子医科大学 臨床工学科・集中治療科)
①『ECPELLA(VA-ECMO+Impella)下サポートPCIはショックを伴うST上昇型心筋梗塞の心筋ダメージを軽減する』
演者:亀谷 智子(済生会熊本病院 心臓血管センター)
②『VA-ECMOを要したショックを伴う急性冠症候群に対するECPELLA(VA-ECMO+Impella)の有効性についての検討』
演者:出石 さとこ(済生会熊本病院 心臓血管センター)
④『ECPELLAを用いた心原性ショック患者の予後改善への取り組み』
演者:中田 淳(日本医科大学付属病院 心臓血管集中治療科)
⑤『当院における心原性ショックに対するMCSブリッジ戦略』
演者:山田 有希子(東京女子医科大学心臓血管外科)
▼パネルディスカッション21(PD)
『急性大動脈解離への緊急ステントグラフト術の最新の知識』
座長コメント:西山 慶(新潟大学救急救命医学講座) 本セッションでは血管内治療が急性大動脈解離に対する標準治療のひとつとなっているなか、その適応や合併症・望まれる患者管理法について、ガイドライン作成にも携われたわが国を代表する心臓血管外科医・循環器内科医・放射線科医の先生方にご講演をいただきました。 循環器内科医である当麻 正直先生には最新のガイドラインに基づく適応や実際の手技、あるべき術後管理法、特に臓器虚血の早期発見についてご講演をいただきました。 放射線科医である上田 達夫先生には適切なCTの撮影法とそれに基づいた治療戦略、急性期のみならず亜急性期における血管内治療の新しい適応についてご講演をいただき、心臓血管外科医でありガイドライン作成班長である荻野 均先生には急性大動脈解離という致死的な急性期疾患に対する医療システムの構築やチーム医療の在り方についてお話しいただきました。 質疑応答では、腹部動脈再建後の腹部虚血発生の頻度や臓器虚血に配慮した降圧目標の在り方などにつきエキスパートの先生方の御意見を拝聴することができました。 |
遠藤 智之(東北医科薬科大学救急・災害医療学)
①『急性大動脈解離に対する緊急血管内治療』
演者:当麻 正直(兵庫県立尼崎総合医療センター 循環器内科)
②『急性大動脈解離に対するステントグラフト術の現状と課題』
演者:上田 達夫(日本医科大学付属病院 放射線科)
③『TEVARが急性B型解離の治療体系を変える?』
演者:荻野 均(東京医科大学 心臓血管外科)
ワークショップ
▼ワークショップ3(WS)
『循環器集中チーム医療 循環器集中治療領域での診療PDCAサイクルとは』
座長コメント:澤村 匡史(社会福祉法人恩賜財団済生会熊本病院集中治療室) 本ワークショップでは,循環器集中治療の質改善について,Plan Do Check ActionのPDCAサイクルをキーワードにディスカッションした。まず済生会熊本病院の澤村が,自施設で2000年から取り組んだ感染管理サーベイランスに始まるPDCAサイクルが,心臓血管外科SSIの減少につながり,現在ではTotal Quality Management Centerが組織され,病院全体の質改善システムにつながったことなどを話した。日本医科大学千葉北総病院の白壁章宏先生には,高齢化する心不全患者の入院期間短縮について,早期からのうっ血改善の必要性やトルバプタンの早期導入の効果,多職種連携による早期離床カンファレンス,多職種診療カンファレンスによる診療の質改善を自施設のデータも含めて示しながら講演して頂いた。飯塚病院の川上将司先生には,心停止・心原性ショック診療の質改善について,診療の質の均一化のための初期治療プロトコル・コンセンサス,診療体制の改善のためのM&Mカンファレンス,循環管理改善の一環として肺動脈カテーテルを用いた血行動態のcomplete profiling,,臨床教育改善のためのピッツバーグ大学と共同のファカルティ・ディベロップメントコースの内容について述べて頂いた。獨協医科大学の菊地研先生には,冒頭で集中治療医学会CCU委員会の活動について概要を述べて頂いた後で,日々の診療がPDCAサイクルになっていること,off the job trainingでもPDCAサイクルが機能していること,更にガイドラインを用いて診療を行い,それによって臨床成績が向上しているかどうかをチェックすること,研究に結びつけることもPDCAサイクルであることを示して頂いた。さらに,今後は学会を含めたPDCAサイクルとして,GRADEシステムを用いた心原性ショック治療のガイドラインの必要性や,補助循環管理のハンズオントレーニングの可能性についても言及された。ディスカッションでは,研修医教育やM&Mカンファレンス,off the job trainingを企画することは,自らの診療の質を改善することにもつながることや,コミュニケーションの重要性について話され,このワークショップを通して日々の診療がPDCAサイクルの連続であることが確認された。 |
①『済生会熊本病院集中治療室のQuality Management』
演者:澤村 匡史(済生会熊本病院 集中治療室)
②『心臓血管系集中治療室でのチーム医療-日本医科大学千葉北総病院集中治療室の取り組み-』
演者:白壁 章宏(日本医科大学千葉北総病院集中治療室)
③『当院ICUが取り組む循環器集中治療の質のカイゼン』
演者:川上 将司(飯塚病院 循環器内科)
④『循環器集中治療でのチーム医療では大きなPDCAサイクルが循環している』
演者:菊地 研(獨協医科大学 救命救急センター・集中治療室)
▼ワークショップ9(WS)
『今知っておくべき集中治療室における心臓超音波検査の活用法 -診療ガイドラインを知り,心エコーを生かすには-』
座長:則末 泰博(東京ベイ・浦安市川医療センター救急・集中治療科)
野村 岳志(東京女子医科大学集中治療科)
①『ICUのための心エコーを整理する』
演者:吉田 拓生(東京女子医科大学 集中治療科)
②『ICUにおける心エコーの活用法』
演者:山本 剛(日本医科大学付属病院 心臓血管集中治療科)
③『Focused Cardiac Ultrasound(FoCUS)』
演者:亀田 徹(自治医科大学臨床検査医学
▼ワークショップ10(WS)
『循環補助としてのVA-ECMO(Impella・IABP併用を含む)の教育』
座長コメント:遠藤 智之(東北医科薬科大学救急・災害医療学) 本ワークショップでは、循環補助・蘇生手段としてのVA-ECMOの教育について、①現状でどのような講習会や教育ツールが利用可能か、②医療チーム・RRSの一環としてVA-ECMOを迅速かつ安全に導入するための院内体制をどのように構築し、教育研修を誰がどのように行うのか、③教育に基づく実践を行うことで患者アウトカムは改善するか、というテーマについて、2つの基調講演(東北大学救急科小林正和先生、千葉大学救急集中治療部服部憲幸先生)と、公募演題の4演者から御発表いただいた。 講習会としてはカニュレーションやE-CPRをシナリオで実施する講習会の紹介があり、教育ツールとしてはSimAuhur®という循環平衡を可視化できるアプリの紹介が特徴的であった。このアプリを用いることで、補助循環が装着された症例の循環動態をチーム内で共有可能である。千葉大学を始め各演者の所属する先駆的施設における院内ECMO体制の構築と教育の実践に関しては、参考になるTipsが非常に多く、聴講した方々にとって自施設の体制をブラッシュアップするための貴重な情報源になったものと思われる。 |
講習会解説:小林 正和(東北大学病院高度救命救急センター)
基調講演 :服部 憲幸(千葉大学病院救急集中治療医学)
①『チーム医療によるECMO管理の取り組み』
演者:長谷場 康之(株式会社日立製作所 日立総合病院 臨床工学科)
②『集中治療チーム回診でおこなうECPELLA教育-皆で補助循環を診る-』
演者:細田 勇人(近森病院 循環器内科 / 集中治療科)
③『循環シミュレーターSimArthurによるECMOの循環動態教育と管理最適化』
演者:横田 翔平(国立循環器病研究センター 循環動態制御部)
④『E-CPR導入プロトコールの作成及びのシミュレーショントレーニングは難治性心停止患者の予後を改善する』
演者:鶴崎 祐太(済生会熊本病院 心臓血管センター)
教育講演
▼教育講演25(EL)『先天性心疾患を持った患者の全身管理』
座長:清水 一好(岡山大学病院手術部)
演者:大崎 真樹(東京都立小児総合医療センター 集中治療科)
▼教育講演30(EL)『心不全治療の最新トピックス』
座長:佐藤 直樹(かわぐち心臓呼吸器病院)
演者:坂田 泰史(大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学)
学術集会名:第86回日本循環器学会学術集会
会期 :LIVE配信:2022年3月11日(金)~3月13日(日)
オンデマンド配信:2022年3月23日(水)10:00~4月20日(水)17:00
シンポジウム19. | 集中治療室での循環器治療医とのコラボ-循環器管理から感染対策まで- Collaboration with cardiologists in the intensive care unit: from cardiovascular management to infection control 2022年3月13日(日) 08:00-09:30 第6会場 |
座長コメント:伊藤智範(岩手医科大学) 全国の循環器集中治療領域で活躍されている先生方から、集中治療医と循環器専門医がどうやってコラボレーションを図り全身管理を進めるのかをご講演いただいた。白壁先生からは、さまざまな患者のバックグラウンドを理解しうる多彩なデータをお示しいただき、併存症への対応の連携の仕方をご講演いただいた。香坂先生には、感染への対応が重要で、その方策をどうするか、嘉嶋先生には、大学病院で実施している多職種連携回診の有用性とオンライン面会の実際などをお示しいただいた。西本先生には、古典的ではあるがSOFAスコアが循環器集中治療でも有用であり、その活用が今後の非心臓死を減少させる評価方法として活用されるべきであろうとの講演をいただいた。討論では、併存症を多数抱える高齢者が増え、その対策が多岐にわたり包括的に対応すべきで、心臓死だけではなく、非心臓死をいかに減少させられるのかが、各施設の課題になると思われた。今後の循環器集中治療領域での重要な議論が展開され、聴講者にとっても非常に考えさせる充実した内容になった。Seferovic先生は、欧州における循環器集中治療の現状も含めてディスカッションをさせていただきたかったが、ご都合により参加いただけなかった。しかし、今後も世界の状況を踏まえて循環器集中治療についての議論が必要である。 |
伊藤 智範 岩手医科大学
Keynote Lecture:
『Indications and World-wide use of Endomyocardial Biopsy』
演者:Petar M. Seferovic Serbian Academy of Sciences and Arts, University of Belgrade Faculty of Medicine, Serbia
①『Treatment Strategy in the Non-Surgical Intensive Care Units by the Full-time Doctor Specializing in both Cardiovascular and Intensive Care Medicine』
演者:白壁 真育(日本医科大学千葉北総病院 集中治療室)
②『Predictive Ability of the Sequential Organ Failure Assessment Score for Hospital Mortality in a Contemporary Cardiac IntensiveC are Unit Population』
演者:西本 裕二(兵庫県立尼崎総合医療センター 循環器内科)
③『Significance of Infectious and Inflammatory Pathway in Contemporary Management of Cardiovascular Patients in Critical Care Setting』
演者:香坂 俊(慶應義塾大学 循環器内科)
④『Patient- and Family-centered Outcomes: That’s the Reason Why Cardiologists Need to Collaborate with Intensivists』
演者:嘉嶋 勇一郎(信州大学 救急集中治療医学)
シンポジウム20. | 集中治療室での加療をいかにプレポスピタルから開始するか How to start treatment in the intensive care unit from the pre-hospital stage 2022年3月13日(日) 10:30-12:00 第6会場 |
座長コメント:田原良雄(国立循環器病研究センター心臓血管内科) Keynote Lectureを菊地研先生(獨協医科大学)が担当し、日本循環器学会会員が早急に行わなければならないと考えるプレホスピタルでの循環器救急医療の課題を2021年9月に実施したアンケート調査結果をもとにご講演いただきました。演者は4名で、桐ケ谷仁先生(横浜市立大学)にはST上昇型心筋梗塞患者をHigh-volume centerに収容することをK-ACTIVE Registryのデータベースからご提案いただきました。山室惠先生(済生会熊本病院)には救急隊による12誘導心電図伝送の活用と今後のドクターカーの役割りについて熊本県における循環器救急疾患患者の搬送状況をもとにご講演いただきました。今村浩先生(信州大学)には循環器救急疾患患者を診療する際には循環器医が救急医や集中治療医および救急隊員、看護師、臨床検査技師などと連携することの重要性を長野県松本市における新たなプレホスピタルでの取り組みも含めご講演いただきました。中田淳先生(日本医科大学)には心原性ショック症例に関する救急救命士との連携に関してSCAI分類を用いた病院前リアルタイムモニタリングの有用性について自施設での取り組みをもとにご講演いただきました。 各講演後に『プレホスピタルと集中治療室の連携をより良くするために今後の日本が取り組むべき課題』について総合討論を行いました。 |
遠藤 智之 東北医科薬科大学病院 救急科
Keynote Lecture:
『Comprehensive Intensive and Critical Care from Prehospital Setting』
演者:菊地 研(獨協医科大学)
①『Impact of Hospital Volume on Ischemic Time and In-hospital Mortality in Patients with ST-Segment-Elevation Myocardial Infarction:
Data from K-ACTIVE Registry』
演者:桐ヶ谷 仁(横浜市立大学附属市民総合医療センター 心臓血管センター内科)
②『Cardiovascular Disease Patient Transport is Shifting from Highly Equipped Ambulance Cars to Paramedic Transport』
演者:山室 惠 (済生会熊本病院 集中治療室)
③『Continuum of Care for the Emergency Cardiovascular Patients Utilizing Medical Control System』
演者:今村 浩 (信州大学 救急集中治療医学)
④『Optimized Cardiogenic Shock Management from Pre-hospital to CICU』
演者:中田 淳 (日本医科大学付属病院 心臓血管集中治療科)
会期/開催地:LIVE配信:2021年12月17日(金)、2021年12月18日(土)
オンデマンド配信:2021年12月24日(金)~2022年2月28日(月)
セッション名: | 日本冠疾患学会ジョイントセッション「CCUの目的と将来展望」 |
座 長: | 伊藤 智範 | (岩手医科大学) |
佐藤 直樹 | (かわぐち心臓呼吸器病院循環器内科) | |
コメンテーター: | 吉野 秀朗 | (医療法人財団慈生会野村病院) |
中尾 浩一 | (済生会熊本病院心臓血管センター循環器内科) | |
浅井 徹 | (順天堂大学心臓血管外科) | |
藤田 知之 | (国立循環器病研究センター心臓血管外科) | |
演 者: | 伊藤 智範 | (岩手医科大学) |
桃原 哲也 | (川崎幸病院心臓病センター循環器内科) | |
山本 剛 | (日本医科大学付属病院心臓血管集中治療科) | |
武居 哲洋 | (横浜市立みなと赤十字病院救命救急センター) | |
小林 欣夫 | (千葉大学循環器内科学) |
学術集会名:第49回日本救急医学会総会
会期/開催地:2021年11月21日〜23日/ベルサール東京日本橋、ベルサール八重洲、コングレスクエア日本橋(現地開催)
セッション名: | シンポジウム 日本循環器学会合同企画「Challenge to Change心血管救急医療のさらなる充実のための、救急医と循環器医の連携」 |
座長コメント:今村 浩(信州大学医学部 救急集中治療医学) 本シンポジウムは日本救急医学会と日本循環器学会が初めてジョイントした画期的な企画です。脳卒中・循環器病対策基本法が制定されたのを受けて、質の高い心血管救急医療を地域全体に提供するために救急・集中治療医と循環器医がどのように連携すればよいか活発な議論が行われました。 まず西山先生は救急医の立場からメディカルコントロール協議会が循環器病対策推進計画に積極的に関わってゆく必要性を、続いて佐藤先生は循環器内科の立場から急性非代償心不全の初期治療における救急医と循環器医の連携の重要性を、そして荻野先生は心臓血管外科医の立場から大動脈緊急症に対する迅速な診断と超早期合併症管理など、ファーストタッチする救急医から始まるシームレスな診療の重要性について発表されました。続いて鶴田先生が救急医の立場から大学病院救命救急センターにおける救急・集中治療医と循環器医との連携の実例と有効性を発表いただき、最後に小林先生は循環器の立場から、連携の実例に加えて、都道府県の循環器病対策推進計画、働き方改革、特定集中治療管理加算など多方面の課題をお示しいただきました。 ディスカッションにおいては、両者が連携してゆくための今後の課題として、①メディカルコントロールへの循環器医の積極的な関与 ②疾患毎の具体的な連携の仕方に関する学会等でのディスカッション ③双方向性の教育による質の向上と相互理解(救急医学会と循環器学会相互の教育講演、救急・集中治療医と循環器・心臓血管外科医相互のローテーション研修など) ④互いの得意分野のより深い理解による役割分担の推進と働き方改革への対応 ⑤循環器と救急それぞれが行っている蘇生教育コース などが上げられました。 心血管救急疾患の多くは重症度緊急度が高く、初期対応の良否は予後に大きく影響します。急性冠症候群に加え、近年では心不全や大動脈緊急症への対応や医療提供体制など新たな課題は多く、それらは救急・集中治療医、循環器内科医、心臓血管外科医がそれぞれ単独で解決できるものではありません。全国の救急医療の現場で救急・集中治療医と循環器医がよりよい連携をとって患者さんの利益につなげるために、今後も関係学会でこのような企画を行って議論を深めることが重要と思われます。 |
高山守正(榊原記念病院)
演者:①『循環器対策基本法において救急領域の果たすべき役割と課題』
演者:西山 慶(新潟大学医学部 救命救急医学講座)
②『心不全における救急医循環器医の連携の重要性』
演者:佐藤 直樹(かわぐち心臓呼吸器病院 循環器内科)
③『大動脈緊急症診療に対する集学的アプローチ』
演者:荻野 均(東京医科大学 心臓血管外科学分野)
④『当院での救急医、循環器内科医、心臓血管外科医との連携』
演者:鶴田 良介(山口大学医学部附属病院 先進救急医療センター)
⑤『脳卒中・循環器病対策基本法』
演者:小林 欣夫(千葉大学大学院医学研究院 循環器内科学)
会期/開催地:2021年2月12日~2月14日/WEB
CCU委員会から提案して採択されたセッションを紹介します
ジョイントセッション
▼セッション名: | 「集中治療医が知っておくべき冠動脈疾患への適切な抗血栓療法:2020年JCSガイドライン フォーカスアップデート版 冠動脈疾患患者における抗血栓療法」 |
座長コメント:伊藤 智範(岩手医科大学附属病院 循環器内科) このセッションでは、日本循環器学会ガイドラン作成員である2名の先生方にご登壇いただき、最新のガイドラインについて、ご解説いただきました。集中治療医学会会員にとっては、通常の抗血栓療法のアップデートのほか、手術時の対応など非常に有意義な内容を聴講できたものと思います。とくに、周術期の抗血栓薬の管理については、会員への有用な情報提供になりました。また、冠動脈疾患に心房細動を合併した場合の、DOAC単剤療法の有効性を本邦から世界へ向けてエビデンスを発信したことは、集中治療領域でも知っておかなくてはならない内容でした。集中治療領域では、高出血リスク(high bleeding risk: HBR)の評価も大事な点であり、こういった内容を、短時間で効率的にかつ包括的に学ぶことができた貴重なセッションでした。CCU委員会では、今後も日本循環器学会と連携して、ジョイントセッションを充実させていきます。(聴講者数109名) |
司会:伊藤 智範(岩手医科大学附属病院 内科学講座 循環器内科分野/医学教育学講座 地域医療学分野)
①『集中治療医に知ってもらいたい高出血リスク患者への対応』
演者:中川 義久(滋賀医科大学 内科学講座 循環器内科)
②『集中治療医に知ってもらいたい非心臓手術時の対応』
演者:石原 正治(兵庫医科大学 循環器・腎透析内科学)
▼セッション名: | 「集中治療医に必要なアップデートされた不整脈ガイドライン2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン」 |
司会:西山 慶(新潟大学大学院 医歯学総合研究科救命救急医学分野)
①『集中治療室における抗凝固薬と抗不整脈薬の使い方のコツとワナ』
演者:岩崎 雄樹(日本医科大学付属病院循環器内科)
②『不整脈薬物治療ガイドライン2020改訂版:集中治療医/救急医が知っておくべき不整脈診断・治療について』
演者:草野 研吾(国立循環器病研究センター 心臓血管内科)
教育講演など
▼セッション名: | 「集中治療室のCritical careに必要な植え込み型心臓デバイスの基礎知識」 |
座長コメント:今村 浩(信州大学医学部 救急集中治療医学) 植え込み型心臓電気デバイス(永久ペースメーカーや植込み型除細動器など)は、技術の進歩や適応の拡大、人口の高齢化に伴い挿入が急増しており、ICUや救急外来でデバイス挿入患者に接する機会が多くなりました。したがって集中治療医はこれらデバイスについて一定の知識が求められます。 本教育講演では、各種植込み型心臓電気デバイスの種類や適応、機能など基本的な内容を国立循環器病研究センター相庭先生に講義いただき、続いて東京女子医科大学の庄田先生より、トラブルの対処について、特にデバイス感染と抜去に焦点を当てて講義いただきました。植え込み型心臓電気デバイスは近年多機能・多種類となっていますが、本教育講演は、集中治療医にとってこれらデバイスに関する知識を整理するとともに、日進月歩のこの分野に関する最新の情報を得る貴重な機会になりました。 |
司会:遠藤 智之(東北医科薬科大学病院 救急科)
①『不整脈デバイス治療の有用性と問題点:感染、CT/MRI撮影、終末期での対処』
演者:相庭 武司(国立循環器病研究センター 不整脈科 )
②『植込み型除細動器の頻回作動と不適切作動に対するトラブルシューティング』
演者:庄田 守男(東京女子医科大学 循環器内科)
▼セッション名: | 「集中治療医が知っておくべきストラクチャーハートインターベンションの基礎知識」 |
座長コメント:白壁 章宏(日本医科大学 日本医科大学千葉北総病院) 心臓の構造に異常がみられる症候群をStructural Heart Disease (SHD)といい、そのカテーテル治療は循環器領域のトピックスとして非常に注目されています。治療後に集中治療を要する症例も経験しますが、集中治療領域ではこれらの手技の詳細はそれほど十分に知られておりません。そこで、この分野の基礎的知識を教授いただくべく、CCU委員会として教育講演を企画いたしました。 当教育講演では、SHDに対するカテーテル手技のご専門である慶応義塾大学医学部循環器内科・林田健太郎先生に大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)について、僧帽弁閉鎖不全症に対する経皮的僧帽弁接合不全修復システム(MitraClip)について、心房細動症例に対する経カテーテル左心耳閉鎖について、それぞれ詳細な手技の流れや最新のトピックスに関してご講演いただきました。また、これらの手技は術前・術中の心エコー検査が非常に重要視されており、心エコーを専門とする循環器内科医師とのチーム医療となります。そこで、心エコーがご専門である聖路加国際病院循環器内科・新沼廣幸先生にこれらの手技に関連する心エコーのポイントに関してご講演をいただきました。集中治療学を専門とする先生方にもわかりやすい平穏な言葉で詳細にご説明いただき、非常に意義のある教育講演でした。 |
司会:白壁 章宏(日本医科大学千葉北総病院 集中治療室)
①『集中治療医が知っておくべきSHDへの最新治療手技』
演者:林田 健太郎(慶応義塾大学医学部 循環器内科)
②『集中治療医が知っておくべきSHDI周術期の心エコー図評価法』
演者:新沼 廣幸 (聖路加国際病院 循環器内科)
▼セッション名: | 「集中治療医が知っておくべき循環器作動薬の落とし穴」 |
座長コメント:伊藤 智範(岩手医科大学附属病院 循環器内科) 本セッションでは、集中治療領域で頻繁に使用される薬物を中心に、CCU委員会から2名の演者の講演を提供いたしました。まず東北医科薬科大学遠藤智之先生からは、循環作動薬の総論に該当する内容で、標準的使用方法をご提示いただきました。次いで、私からは、個々の薬物で、知らないと足元をすくわれる副作用を、症例を中心に解説を行いました。抗不整脈薬の過量内服による心肺停止、またそれによる低血糖、β遮断薬のピットフォール、薬物中止によるWithdrawal症候群、アレルギー性急性冠症候群であるKounis症候群などについて講演を行いました。2つの講演ともに、日常診療へ直結する循環作動薬に関連した内容で提示されたことから、多数ご参加いただきました。(聴講者数207名) |
司会:佐藤 直樹(かわぐち心臓呼吸器病院 循環器内科)
①『集中治療医が知っておくべき循環器作動薬の落とし穴』
演者:遠藤 智之(東北医科薬科大学病院 救急科)
②『集中治療医が知っておくべき循環器作動薬の落とし穴』
演者:伊藤 智範(岩手医科大学附属病院 内科学講座 循環器内科分野/医学教育学講座 地域医療学分野)
▼セッション名: | 「心臓血管系集中治療医をどのように育成するべきか? 」 |
座長コメント:今村 浩(信州大学医学部 救急集中治療医学) 当CCU委員会の活動目標は「集中治療医学と循環器病学の双方の発展のために、循環器集中治療に関する啓発活動を推進する」ことにあり、そのためには、循環器疾患の管理に加えて、より複雑な病態と多臓器の障害に対する包括的な対応ができる心血管集中治療医を育成することがきわめて重要です。 本ワークショップでは、先進的な5施設から育成のための取り組みを発表いただいた後、多様性に富む全国の地域や施設において、質が高く標準化された心血管集中治療医を育成するためには何が必要か、育成の「場」、「指導者」、「プログラム」等の観点から意見が交わされました。最近、本学会や循環器系の学会で同様の議論が行われるようになりましたが、そろそろ「議論」から「実践」が求められる時期に来ており、当CCU委員会の果たすべき役割の重要性を再認識させられるワークショップでした。 |
司会:今村 浩(信州大学医学部附属病院 救急集中治療医学 )
①『心臓血管系集中治療医の育成一日本医科大学千葉北総病院集中治療室の取り組みー』
演者:白壁 章宏(日本医科大学千葉北総病院 集中治療室)
②『心臓血管系集中治療医を育てるには』
演者:菊地 研(獨協医科大学病院 心臓・血管内科)
③『循環器科医をICUで活躍できる心臓血管系集中治療医として育成するーセミクローズドICUでの教育体制』
演者:川上 将司(飯塚病院 循環器内科)
④『奈良県総合医療センター集中治療部における心臓血管系重症患者管理に対する研修結果』
演者:中村 通孝(奈良県総合医療センター 集中治療部)
⑤心臓血管系集中治療医育成のための標準化プログラムの必要性
演者:山本 剛(日本医科大学付属病院 心臓血管集中治療科)
▼セッション名: | 「心不全パンデミック時代の集中治療 心不全パンデミックに対峙するには」 |
座長コメント:遠藤 智之(東北医科薬科大学病院 救急部) 本セッションでは、4名の心血管集中治療のエキスパートの先生方から、これから先10年以内に確実に直面するであろう心不全パンデミック時代に対峙するために、我々が今知っておくべき心不全の評価・管理等につきまして、急性期から緩和ケアに至るまで様々な視点で発表していただきました。 初めに本セッションの座長でもある佐藤直樹先生(かわぐち心臓呼吸器病院循環器内科)から「循環・水分管理update」と題して、血行動態の分類、評価・モニタリングツール、管理指標、早期治療介入の必要性、心原性ショックに対する補助循環装置の適応、予後改善に寄与する可能性のある新規の心不全治療薬などについて歴史的変遷を踏まえて分かりやすく包括的にまとめていただきました。 続いて川上将司先生(飯塚病院循環器内科)には、「肺動脈カテーテルで補助循環管理を『見える化』する!」というタイトルで、VA-ECMOやImpellaなどの補助循環装置を要する重症心不全患者の血行動態管理において、いかに肺動脈カテーテルによる情報共有が重要であるかについて提示していただきました。 3演題目は伊藤智範先生(岩手医科大学循環器内科)から、「心不全パンデミックに対峙するための冠動脈疾患精査―criticalな状態での適切な心筋虚血評価」と題して、冠動脈疾患・心筋虚血の精査方法、特に非侵襲的検査として冠動脈CT、SPECT、MRIについて、それぞれのモダリティの特徴や適応について解説していただきました。 最後は柴田龍宏先生(久留米大学病院 高度救命救急センターCCU)から、「CCUにおける緩和ケアの役割」と題して、末期心不全における緩和ケア的アプローチの重要性について話をしていただきました。特に本邦での議論の経過、心不全ガイドラインへの記載(2017年)と改訂(2021年)、末期心不全における緩和ケアチームの診療報酬加算、循環器領域が基本的緩和ケアを担うという当事者意識を持つために必要な人材(コーディネーター)の確保と教育について詳細を示していただきました。 各演者の発表後に心不全診療における集中治療とのコラボレーションについて意見を伺ったところ、カンファランス等を通じて横のつながりを強化し、循環器スタッフと集中治療スタッフが普段から顔の見える関係を構築することの重要性が強調されました。 |
司会:佐藤 直樹(かわぐち心臓呼吸器病院 循環器内科)
①『循環・水分管理』
演者:佐藤 直樹(かわぐち心臓呼吸器病院 循環器内科)
②肺動脈カテーテルで補助循環管理を「見える化」する!
演者:川上 将司(飯塚病院 循環器内科)
③『心不全パンデミック時代の集中治療「心不全パンデミックに対峙するには」』
演者:伊藤 智範(岩手医科大学附属病院 内科学講座 循環器内科分野/医学教育学講座 地域医療学分野)
④『心不全パンデミック時代の集中治療「心不全パンデミックに対峙するには」』
演者:柴田 龍宏(久留米大学心臓・血管内科)
▼セッション名: | 「心原性ショック管理への挑戦」 |
司会:今村 浩(信州大学医学部附属病院 救急集中治療医学 )
①『補助循環用ポンプカテーテル登場後の心原性ショック管理』
演者:澤村匡史(済生会熊本病院集中治療室)
②日本における補助循環用ポンプカテーテルの有用性・安全性:J-PVADレジストリー報告
演者:佐藤 直樹(IMPELLA部会J-PVADレジストリー研究グループ)
③補助循環導入後も進行する心原性ショック患者の臨床的特徴
演者:服部 英敏(東京女子医科大学循環器内科 )
④『心原性ショックに対する機械的補助循環を用いた集学的治療の効果と展望』
演者:真玉英生(国立循環器病研究センター)
⑤『心原性ショックに対するチーム管理の重要性』
演者:山本剛(日本医科大学付属病院心臓血管集中治療科)
学術集会名 :第85回日本循環器学会学術集会
会期/開催地:2021年3月26日~3月28日 パシフィコ横浜ノース /WEB ハイブリッド開催
▼セッション名: | シンポジウム 25(Emer/Med Policy/New Fields)CCUで勤務するためにこれだけはしっておきたい集中治療の最新の話題 |
座長:笠岡 俊志(熊本大学 災害医療教育研究センター) | |
座長:伊藤 智範(岩手医科大学 内科学講座 循環器内科分野/医学教育学講座 地域医療学分野) |
座長コメント:伊藤 智範(岩手医科大学 内科学講座 循環器内科分野/医学教育学講座 地域医療学分野) いま循環器救急診療は、22世紀を見据えた課題解決に向けて、新たな展開を見せています。また、災害やパンデミックなどの環境要因からも大きな影響を受ける時代になり、さまざまなことが3次元にパラダイムシフトしようとしています。このセッションでは、日本集中治療医学会CCU委員会メンバーでもあるご高名な3名の先生方にご登壇いただきました。遠藤智之先生には、「院外心停止による心停止後症候群の集中治療管理」という内容で、現状のPCAS管理の方法について、問題点と展望をご講演いただきました。竹内一郎先生には、「循環器集中治療医に必要なCOVID-19 up to date」という内容で、非常にホットな話題をご講演いただきました。循環器内科医もCOVIDへの治療へ参画することが、このパンデミックを乗り越える大事なチーム力であることが述べられました。佐藤直樹先生には、「心不全新時代:新しい薬物治療の実際」と題して、新規心不全薬の概要とこれからの役割を論じていただきました。いずれの内容も非常に重要で話題性に富む講演でした。CCUは、まぎれもなく循環器疾患診療の要です。1962年に初めて米国で設置されたCCUは、その歴史が60年になろうとしています。この間、急性心筋梗塞症の診療は劇的な進歩を遂げて、その死亡率が5%前後になっています。しかしながら、院内死亡率をゼロにはできず、さらには院外心停止の問題も未解決です。いまや、循環器救急診療は、環境要因からも大きな影響を受ける時代になり、総合的な管理の重要性について、大変勉強になったセッションであったと思います。 |
①『Current Intensive Care for Post-cardiac Arrest Syndrome of Out-of Hospital Cardiac Arrest』
演者:遠藤 智之(東北医科薬科大学 救急・災害医療学
②『VV-ECMO and COVID-19 -The Latest Topics in Intensive Care That You Need to Know to Work in the CCU
演者:竹内 一郎(横浜市立大学 救急医学)
③『New Therapeutic Strategies of Acutely Decompensated Heart Failure
佐藤 直樹(かわぐち心臓呼吸器病院 循環器内科)
▼セッション名: | Plenary Session13(Emer/Med Policy/New Fields)Up Date of Intensive Care for Cardiogenic Shock |
Chairperson:Yoshio Tahara(Department of Cardiovascular Medicine, National Cerebral and Cardiovascular Center, Suita) | |
Chairperson: Robert W. Neumar(Department of Emergency Medicine, University of Michigan, Ann Arbor, USA) |
①『ECPR for Out-of-Hospital Cardiac Arrest in the United States』
演者:Robert W. Neumar(Department of Emergency Medicine, University of Michigan, Ann Arbor, USA)
② 『Temporal Trends in In-hospital Mortality and Mechanical Circulatory Support in Patients with Acute Myocardial Infarction -Lessons from MIYAGI AMI Registry-』
演者:Jun Takahashi(Department of Cardiovascular Medicine, Tohoku University Graduate School of Medicine, Sendai)
③ 『Optimal Management of Cardiogenic Shock: Delivering the Comprehensive, Collaborative, and Multidisciplinary Care』
演者:Takeshi Yamamoto(Division of Cardiovascular Intensive Care, Nippon Medical School Hospital, Tokyo)
④ 『The Indication and Management Practices of Cardiogenic Shock Based on Our Experience of 70 IMPELLA Cases』
演者:Hidekazu Aoyama(Department of Cardiology, Nagoya Tokushukai General Hospital, Kasugai)
⑤ 『Clinical Features of Deteriorating Cardiogenic Shock Patients』
演者:Hidetoshi Hattori(Department of Cardiology, Tokyo Women's Medical University, Tokyo)
⑥ 『Predicting Parameters for Successful Weaning from Veno-Arterial Extracorporeal Membrane Oxygenation in Refractory Cardiogenic Shock』
演者:Kenichiro Sawada(Department of Cardiovascular Medicine, National Cerebral and Cardiovascular Center, Suita)
会期/開催地:2019年3月1日~3月3日/京都
▼セッション名: | ジョイントシンポジウム2(日本集中治療医学会・日本循環器学会) 最新の心不全診療ガイドラインを知る |
本セッションは日本集中治療医学会と日本循環器学会の合同シンポジウムとして開催されました。テーマは「最新の心不全診療ガイドラインを知る」であり、2018年3月に公表された「急性・慢性心不全診療ガイドライ2017」のポイントについて3名の先生にご講演を行っていただきました。
講演1は、ガイドライン作成の班長を務められた九州大学の筒井裕之教授に改訂されたガイドラインのポイントとともに、集中治療の現場において知っておくと役立つ心不全診療の考え方についてお話しいただきました。
講演2は、岩手医科大学の伊藤智範教授に集中治療医に求められる急性期から始まる慢性期までを踏まえた診療のポイントをお話しいただきました。
講演3は、済生会熊本病院の澤村匡史先生に急性心不全ガイドラインの推奨事項を初期診療に如何に活かすかという視点でお話しをいただきました。
循環器診療を専門にしない集中治療専門医にとっても心不全診療に関する最新情報を得る貴重なセッションと考えられました。
▼セッション名: | 教育講演セッション2(CCU委員会企画) 集中治療専門医に必要な最新の肺血栓塞栓症の管理を学ぶ |
日本集中治療医学会CCU委員会は、集中治療医学と循環器病学の双方の発展のために、循環器集中治療に関する啓発活動を推進している。その活動の一つとして、日本集中治療医学会学術集会開催時に循環器集中治療に関するテーマをCCU委員会企画セッションとして学術集会参加者に提供している。
テーマを決める方法は前年に日本循環器学会学術集会で発表された最新のガイドラインからCCU委員会委員の投票により決定した。
第46回日本集中治療医学会学術集会においては教育講演セッション(CCU委員会企画)として『集中治療専門医に必要な最新の肺血栓塞栓症の管理を学ぶ』をテーマに2名の演者にご講演いただいた。まず初めに“肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン(2017年改訂版)”の作成に携わった山本剛先生(日本医科大学付属病院心臓血管集中治療科)から肺塞栓症のガイドラインのトピックについてご講演があり、次に辻明宏先生(国立循環器病研究センター心臓血管内科部門肺循環科)により深部静脈血栓症に関する最新の診断および治療について豊富な経験と知識をもとにお話しいただいた。
講演後には集中治療室における実際の症例や病態に関する質疑応答が活発に行われた。本講演を聴取することにより当時の会場の盛況な雰囲気も伝われば幸いである。
学術集会名 :第83回日本循環器学会学術集会
会期/開催地:2019年3月29日~3月31日/横浜
▼セッション名: | シンポジウム10(日本集中治療医学会・日本循環器学会) CCUで勤務するためのこれだけは知っておきたい集中治療の最新の話題 |
2019年3月開催の第83回日本循環器学会学術集会において、日本集中治療医学会とのジョイントシンポジウムとして、本セッションが開催されました。シンポジウムのメインテーマは、「CCUで勤務するためにこれだけは知っておきたい集中治療の最新の話題」です。
日本のCCUは冠動脈疾患の管理に重点を置いていますが、循環器専門医には、複雑で多様化した重症の心血管疾患の患者に集中治療を提供する必要があります。そのため、循環管理のみならず、呼吸管理、透析を含む体液管理、栄養管理など全身管理に関する知識が求められています。本セッションでは、以下のようなテーマで演題発表と質疑が行われました。
1)心原性ショックに対する新たな循環補助装置であるImpellaの有用性
2)CCUにおける重症心不全の急性期の治療戦略と栄養管理
3)CICUにおける集中治療専門医と循環器専門医の連携
4)CICUにおけるせん妄対策
循環器専門医には集中治療管理に関する知識や技術が求められるとともに、集中治療専門医との連携も重要と考えられました。
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トピックス
特に抗がん剤、薬物療法の著しい進歩による癌症例の予後改善は目覚ましく、治療自体も長期にわたることが多くなっている。 その治療過程で心筋障害が生じることが問題視され、近年、循環器分野では癌治療関連心筋障害(cancer therapy related cardiac dysfunction; CTRCD)という概念が提唱されている。 また、腫瘍量が多いケースは抗癌剤使用後の腫瘍崩壊症候群による様々な臓器障害で集中治療を要する症例も間々経験する。 その際の敗血症の併発は必発である。癌症例の集中治療はその主病態が“癌”であるが故に従来の治療戦略とは異なる場面も多く対応に苦慮することが多い。 特に抗癌剤使用によると思われる上記合併症の際は、治療の中核をなす薬剤の継続可否の判断によってその後の予測生命予後も大きく変わるため難局を極める。 抗癌剤を継続するのか中止するのか、他のレジメンに変更するのか、主科との綿密なカンファレンスが必要である。 その結果それぞれの症例の予後がどの程度見込めるのか、癌終末期治療としては最も不適な集中治療室での治療をどこまで続けるのか、 細かい状況を事細かにご本人にお話しし治療方針を都度変更していく必要がある。また、このような局面ではご本人の意思判断能力が十分といえないケースも多く、 ご家族との対話もいつも以上に必要となる。近年、癌関連集中治療として様々な事がトピックとして上がっている。 ここでは、新規薬剤に関連して免疫チェックポイント阻害薬の免疫関連有害事象による心筋炎に関するトピックスを紹介する。
昨今ノーベル賞を受賞した免疫チェックポイント阻害薬は様々な悪性腫瘍に有効性が示され、 使用頻度が拡大している。その一方、免疫チェックポイント阻害薬により自己免疫が賦活化することで様々な臓器への有害事象をきたすことも報告されてきている。 近年報告されてきている左室機能への有害事象としては、心筋炎、たこつぼ心筋症などがあげられる。 [1]特にその中でも問題となっているのが心筋炎である。免疫チェックポイント阻害薬に起因する心筋炎は、0.1~1.0%程度と稀であるが致死率は25~50%と極めて高い。 よって、決して頻度が多いとは言えないが、症状の進行が早く劇症化する症例が間々あると推察される。 実際に、通常の癌治療データベースの中でも免疫チェックポイント阻害薬使用による心筋炎発症率が高いことは報告されており、 [2]ここ数年で多くの症例報告が発行されている。
基本的に容量非依存的に発症すると考えられており、薬剤投与から心筋炎発症までの期間は投与後1年以内のものも報告されているが、 おおむね3か月程度とされている。そのため、使用3か月以内の心筋炎合併症例は同薬剤による心筋炎を疑うべきである。 また、免疫 チェックポイント阻害薬の併用療法ではその頻度と重症度が増加することは報告されており、 併用療法による劇症型心筋炎の発症は十分に注意すべきである [3]、抗CTLA-4抗体であるIpilimumabと抗PD-1抗体であるNivolmabの併用療法では1回のみの投与で劇症型心筋炎を発症したという報告もある。 [4]
スクリーニングは他のCTRCDと同様に心電図、心筋トロポニン検査、心エコー検査などに限られ免疫チェックポイント阻害薬心筋炎早期発見のために特徴的な検査はない。 とくに心エコー検査では発症初期に異常所見を認めないことも多く、心機能正常でも潜在性心筋炎の可能性は否定できない。 早期発見が重要な免疫チェックポイント心筋炎を早期に指摘するためには、発症好発時期である開始後3か月間に心筋トロポニン検査を加えることがひとつ提案される。 明確なエビデンスはないものの発症時には94%で異常を示したとの報告がある。しかし、どの程度のトロポニン値上昇を薬剤投与中止基準とすべきかの明確なエビデンスは全くなく、 そのエビデンスになりうるか研究が行われているがまだ定かではない。 [5]薬剤中止を検討するのはトロポニン値の値のみでなく、 下記に示すその他の心筋炎診断基準をみたすかどうかが重要となってくる。2023年に改訂された心筋炎の診断・治療に関するガイドラインでは、 心筋トロポニン上昇に加え、①心筋炎を示唆する症状・兆候、②心室性不整脈、心停止、新規の伝導障害の出現、③新規に出現した局所や全体の壁運動低下、 ④他の免疫関連副作用の合併(筋炎や重症筋無力症)、⑤心臓MRIで心筋炎が示唆される場合、のうち2つ以上を満たす場合には臨床的に心筋炎と診断することとしており、 その際に原因薬剤の中止・変更を推奨クラスI、エビデンスレベルCで推奨している。 [6]
治療法に関する前向き研究も存在せず、多くの症例で経験的にステロイド薬、免疫抑制薬の投与が行われている。 免疫チェックポイント阻害薬による劇症型心筋炎の発症予測及び治療に関して確立したエビデンスはまだ報告されていないが、 最近の癌治療関連心機能低下合併症としては一番のトピックスであり、今後更なる研究結果を注視する必要があると思われる。
■参考文献
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そもそも敗血症に対するβ遮断薬の投与に注目が集まった背景として、動物実験等によりβ遮断薬が心筋酸素需要を低下させ、心筋虚血を予防し、また炎症性メディエーター(TNF-α、HMGB-1など)の産生減少に寄与する可能性が示されてきたことなどがある(Y. Kakihana et al, J Intensive Care 2016 Vol. 4 Pages 22)。モニター監視下にβ遮断薬を投与すれば、過剰な心筋代謝が抑制され、心拍数減少によって心室の拡張時間が延長することで一回拍出量が増加し、心拍出量は保たれることが期待される。
近年、本邦では超短時間作用型β1受容体遮断薬のlandiololが頻脈性不整脈に対してその地位を確立しており、国際的にも2020 ESCガイドラインの心房細動のレートコントロール用静注薬としてlandiololが追加されている。特に低心機能の頻脈性心房細動に対する適応を有していることが特徴的である。
敗血症・敗血症性ショックによる頻脈に対するlandiolol投与の効果については、Kakihanaらにより本邦で多施設共同RCTが行われ(J-Land 3S, Y.Kakihana et al, Lancet Respir Med 2020 Vol. 8 Issue 9 Pages 863-872)、従来治療にランジオロールを加えた治療が従来治療に比べ24時間後の心拍数達成率(60~94bpm)を有意に高め、168時間までの新規不整脈発生率を有意に低下した。
有害事象は有意差がなく、副次評価項目である28日死亡率も、両群で差は認めなかった。
以上のような背景のもと、英国で敗血症性ショック(適切な輸液蘇生と血管収縮薬投与後も乳酸値>2mmol/Lが持続)に対するlandiolol投与の多施設共同RCTが行われ、その結果が2023年10月にJAMAに発表された(STRESS-L, T. Whitehouse et al, JAMA 2023 Vol. 330 Issue 17 Pages 1641-1652)。STRESS-Lの概要は以下の通りである。
・デザイン: | 多施設、無作為化、オープンラベル、第2b相試験 |
・Patients: | Sepsis-3の診断基準で敗血症性ショックと診断され、 |
頻拍(HR>95)を有する18歳以上の成人患者 | |
(英国の40のNational Health Service病院) | |
・Intervention: | landiolol持続点滴 |
・Comparison: | 標準治療群(β遮断薬投与不可) |
・Outcome: | 14日間のSOFA scoreの平均値 |
・症例組入れ期間: | 2018年4月19日~2021年12月15日 |
(COVID-19のため、2020年3月18日~2020年8月21日は一時停止) | |
・症例数: | landiolol群 63人、標準治療群63人 |
・Primary Outcome: | 14日間の平均SOFAスコア: |
landiolol群 8.8(SD 3.9) vs 標準治療群 8.1(SD 3.2) | |
(mean difference, 0.75 [95% CI、-0.49 to 2.0];P=.24)…有意差なし | |
・Secondary Outcome: | 28日死亡率:landiolol群 37.1% vs 標準治療群25.4% |
(absolute difference, 11.7% [95% CI、-4.4% to 27.8%];P=.16)…有意差なし | |
・有害事象: | 少なくとも1つの有害事象を有する患者の割合は両群間で有意差がなかったが |
(landiolol群17.5% vs 標準治療群12.7%, P=.80)、 | |
重篤な有害事象の割合はlandiolol群に多かった | |
(landiolol群 25.4% vs 標準治療群6.4%, P=.006)。 |
1.目的の違い: | J-Land 3S:心拍数低下の容認性 vs STRESS-L:臓器障害改善効果 |
2.対象の違い: | J-Land 3S:敗血症&敗血症性ショック vs STRESS-L:敗血症性ショック限定 |
3.最大投与量: | J-Land 3S:最大20μg/kg/min vs STRESS-L:最大40μg/kg/min |
・ | 心拍出量や酸素需給バランス(SvO2など)をモニターしていないため、増量しすぎて血圧低下や乳酸値の上昇を来たした可能性がある。 |
・ | 敗血症でのenergy failureは、循環障害というよりはミトコンドリアの酸素利用障害によると考えられており、そのような観点からは、必ずしもβ遮断薬で心筋酸素消費量を減らすことがよい効果をもたらすとは限らない。 |
・ | β遮断薬の敗血症における効果が、全身循環に対する効果とは独立したものであるとするなら、心拍数ではない指標が必要になる。 |
・ | β遮断薬は炎症・代謝などに対する利があるかもしれないが、他方では害をもたらす可能性があり、それは症例によって、またタイミングによって異なるだろう。 |
・ | 病態の理解を深め、β遮断薬が有効なサブセットの同定が望まれる。 |
一部の敗血症患者に左室収縮障害が見られることは1980年代から報告されていた。最近になって注目を浴びるようになったのは、敗血症性ショックに対する循環作動薬の選択や輸液量の多寡に関心が集まったこと、ICUでの心エコーが普及したこと、そして本症に対するVA-ECMO(veno-arterial extracorporeal membrane oxygenation)の有効性が報告されるようになったことなどによる。
本症の病態、診断、治療についてはまだ不明な点が多い。臨床研究が進まない大きな理由は、本症が明確に定義されておらず、診断基準も存在しないことにある。病態生理としてはいくつものメカニズムが推定されており、敗血症で発生するPAMPs(pathogen-associated molecular patterns)、DAMPs(damage-associated molecular patterns)、炎症性サイトカインの多くが心筋抑制的に働くこと、一酸化窒素や酸化ストレスの影響、冠末梢循環障害や心筋浮腫、自律神経調節障害などの関与が基礎研究で確認されている。本症の診断には重篤な状態の患者にも侵襲なく施行できる心エコーが有用であるが、敗血症患者では末梢血管抵抗や血管内容量に極端な異常をきたしており、さらにそれらが時間とともにダイナミックに変動するため、評価が比較的困難である。血管作動薬や人工呼吸などの影響も大きい。
昇圧薬に反応しない敗血症性ショックに対するVA-ECMOの有効性は小児を中心に以前から報告されていたが、挿入によるデバイス感染への懸念や、敗血症性ショック時には高心拍出状態になっているのではないかとの考え方から、広く行われるには至っていなかった。近年VA-ECMOが敗血症性ショックに多く用いられるようになってきたのは、敗血症性心筋症が認識されるようになり理論的根拠となったことも影響している。2020年にBréchotらは国際多施設コホート研究において、左心機能低下を伴った重症敗血症性ショック症例に対してVA-ECMOが有意に、かつ著明に生存率を改善させたと報告した[1]。2021年に発表されたメタ解析では、VA-ECMOが施行された治療抵抗性敗血症性ショックのうち高度左心機能低下を有する患者の予後は良好であったのに対し、左心機能低下が高度でない患者の予後は不良であったと報告された[2]。
敗血症性心筋症の生命予後は不良であるが、生存例の心機能はほぼ正常化するとの報告が多い。本症の病態、診断、治療に関しては今後さらなる研究が必要である。敗血症例は数が多いことから機械的補助以外の何らかの薬物療法の発見も待たれるところである。
敗血症患者を救命し社会復帰させるためには多職種連携とともに、関係する多くの診療科医師が連携して治療に当たることが必要である。敗血症性心筋症は現在多くの集中治療医に認識されているが、本邦においてその疾患概念が循環器医に広く認識されるには至っていないと思われる。臨床の現場で循環器医と集中治療医が本症に対し共通の認識を持って患者管理に当たることによって、本症の予後が改善するばかりでなく、病態の解明や治療法の開発が進むことが期待される。
1) Bréchot N, Hajage D, Kimmoun A, et al. Venoarterial extracorporeal membrane oxygenation to rescue sepsis-induced cardiogenic shock: a retrospective, multicentre, international cohort study. Lancet. 2020 22;396:545-552. doi: 10.1016/S0140-6736(20)30733-9.
2) Ling RR, Ramanathan K, Poon WH, et al. Venoarterial extracorporeal membrane oxygenation as mechanical circulatory support in adult septic shock: a systematic review and meta-analysis with individual participant data meta-regression analysis. Crit Care. 2021; 25: 246. doi: 10.1186/s13054-021-03668-5.
関連事項として、昨年10月に心リハ学会関東甲信越支部地方会のシンポジウム「超急性期の心リハ」にシンポジストとして参加した。看護師、理学療法士のシンポジストは各施設で実践している早期リハについて発表していた。私は過度の安静がもたらす弊害の一つであるせん妄、この予防を「超急性期の心リハ」のターゲットとしてあげた。せん妄の病態は急性脳障害とされ、重症心疾患では低心拍出、低酸素、多臓器障害の合併等、急性脳障害をきたしやすい状態にある。せん妄は一過性の合併症であるだけでなく、器質的な脳変化をきたし認知機能低下をもたらす。さらには長期予後を悪化させる。現在、せん妄予防に有効な薬物はないため、早期リハを主とした非薬物療法による多角的バンドルアプローチが予防法として推奨されている。CCUにおけるせん妄の合併率は、急性心不全例の検討において、名古屋大学病院からの報告で26.7%(Iwata 2020 1649)、国立循環器病研究センター病院(Honda 2016 521)で23%(入院中)とされ、両報告ともせん妄合併例は長期的に有意に予後不良であった。未報告データであるが、当院CCUの侵襲的人工呼吸管理例では68%にせん妄を合併、ミダゾラム使用例に限れば86%と非常に高率であった。循環器内科医は急性腎障害に極めて敏感で予防に努めるが、急性脳障害の予防には関心が薄い。シンポの結びでは、CCU全体でせん妄予防を含めた「早期心リハ」に対する肯定的認識を持ち多角的バンドルアプローチに取り組むべきとした。重症心血管疾患患者に対する「早期心リハ」を標準化し、普及させることはCCU委員会の重要な役割である。本学会で活動する強みを活かして進めていきたい。
ECMOカニュレーションブースでは、ECMO回路プライミングの後、参加者全員が模擬皮膚付き血管モデルに対して超音波ガイド下にECMOカニュレーションを行いました(写真1)。回路接続~ポンプオン~下肢送血についても実技を実践しました。
PCASシナリオのブースでは、チームダイナミクスを意識したPCASマネージメント、デバイスを用いたTTMの導入についてシミュレーションを行いました。自動胸骨圧迫器についても実際の操作をトレーニングしました。
E-CPRシナリオでは、参加者それぞれに役割を配分し、難治性VFに対するVA-ECMOの導入についてフルスケールでシミュレーションを実施しました(写真2)。シナリオ実施後にデブリーフィングを行い、E-CPRの際にチームとして配慮すべき事がらについて十分に議論を行いました。アンケート結果では、全てのレッスンに関して概ね好意的な回答を得ることができました。
このように患者アウトカムに直結するトレーニングについては、やはり臨床に近い環境で、没入してトレーングすることが重要と思われます。CCU委員会では、今後も本セミナーを開催していきたいと思います。
写真1 ECMOカニュレーショントレーニング | 写真2 ECPRシミュレーション |
文献
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平盛勝彦先生は1964年に京都大学医学部を卒業された後,1971年には東京女子医科大学 心臓血圧研究所 循環器内科に入局され、日本で最初の冠動脈疾患集中治療室(CCU)で多大学から集った精鋭たちと質の高い診療を実践されました。1977年には国立循環器病センター(現:国立循環器病研究センター)が設立され、東京女子医科大学のチームを率いて移られ、CCUを開設されました。循環器救急医療の第一線で若き精鋭たちや志に燃えるレジデントとともにその臨床的実践を全国へと広げていきました。早朝から毎日行われるCCUカンファレスでは、個々の症例の情報をCCUノートに書き記され、経過を議論し、治療方針を決定していくとの過程で行われ、そのスタイルは現代で言えばCCUの「PDCAサイクル」を回していたものでした。現在の病院長や循環器内科教授や循環器部長クラスの方々には、その当時の若き精鋭たちとともに教えを受けた方々が多くいらっしゃり、「いい加減な診療をしていると、その根拠を問われるため、指導医とレジデントは十分に準備した上でカンファレンスに臨んでいた」と伺いました。
1990年より岩手医科大学第二内科教授を務められ、赴任直後より、当時本邦ではまだ一般的でなかった多施設共同ランダム化比較試験による科学的な臨床試験を行う流れを全国に先駆けて構築しました。また「循環器救急医療のフォーカスを院外へ」と一般市民への心肺蘇生(CPR)の啓発を県の事業として開始されました。CPR普及事業推進会議を1993年に設立し、と同時に岩手県内でのCPRを統一しました。1997年には岩手医科大学附属病院循環器医療センターの開設に尽力されました。毎朝、循環器内科・外科・小児科・放射線科などの医師らと看護師・理学療法士らが一堂に会するカンファレンスが開かれ、今で言う「ハートチーム」との「チーム医療」の実践を先駆けて行っておりました。
その在任中の1997年には、当日本集中治療医学会の第24回学術集会(盛岡)の会長を務められました。「集中治療の科学と非科学:医学の行方を考える」をメインテーマに据え、初めて「Evidence‐based Medicine(EBM)」を取り上げた学会であったと思います。医学医療の各専門領域から構成される当学会の特性を生かし、EBMとは何か、どのように有効性が示せるのか、などが多領域より検討され、その一方で、哲学者や作家など医療従事者以外からも講演者やパネリストを招聘され、その年に国会で成立した臓器移植法に関連して「集中治療と心」についても大きく討論されました。蘇生後脳低温療法のことを取り上げ、海外招請講演では蘇生率世界一を示していたシアトルからCobb先生を招待するなど、当時のプログラムは、今振り返っても斬新で魅力的なものになっていると思われます。
平盛先生が牽引されたチームが如何に先進的であり、それらの取り組みがわが国での先駆けと言えるものであったかがお分かり頂けると思います。今となっては、2005年に教授を退職される際に出版された『白衣を脱いだらみな奇人』というユニークな題名の本で、その考え方の片鱗に触れることができるかと思います。平盛先生のこの偉大な功績を改めて確認することで、今後のわれわれが進むべき方向を提示してくださっていると思います。
平盛勝彦先生のご逝去に追悼の意を表し、ご冥福をお祈りいたします。
定価4,400円(税込)の紹介
職場や職種に関わらず、どうぞご覧くださいますようよろしくお願い申し上げます。
本書の原案は、2018年9月に開催された第66回 日本心臓病学会学術集会(会長:増山理先生)の会長特別企画『ケースに学ぶセッション:心臓血管系の集中治療』を日本集中治療医学会CCU委員会が担当企画したことがきっかけとなりました。学術集会では若手医師が症例を提示し、日本集中治療医学会CCU委員会メンバーと議論しながら循環器集中治療の重要なポイントを共有する趣旨でセッションを進行しました。そして、学術集会会場の盛況さとその後の反響から書籍化が決まりました。 本書の構成は、この上記学術集会のケースに学ぶセッション企画を踏襲しつつ、全体を大きく「重症心不全管理」「補助循環装置」「体温管理療法」「他の専門医との連携を要する循環器系集中治療管理」の4章にテーマ分けしております。
各章のテーマごとに、①基本知識をまとめた「これだけは知っておきたい!〇〇の基本」、②学術集会で発表された症例を提示し、その症例についてのオリジナルクイズと解説を加えた「caseとクイズで学ぶ〇〇の実践」、③知識の総仕上げとして「完全攻略! 〇〇の総まとめ」、という順に解説しています。とくに②は、学術集会開催当時の演者本人を症例提示の執筆者に迎え、日本集中治療医学会CCU委員会のメンバーが中心となりクイズと解説を作成しており、オリジナリティに溢れた内容です。実際の症例と経過・治療内容について臨場感をもって学べるとともに、クイズ形式で楽しみながら循環器集中治療のキホンと実践を身につけていただける、今までにないものとなっているかと思います。
『ケースに学ぶセッション:心臓血管系の集中治療』の企画担当を日本集中治療医学会CCU委員会にご提案いただけなければ本書は世に出なかったことになりますので、増山先生はまさに本書の生みの親です。この場を借りて心より深謝申し上げます。
また、このようなチャンスをいただけたのは、歴代の日本集中治療医学会CCU委員会の諸先輩のご尽力の賜物と敬意を表する次第です。
急性心筋梗塞(AMI)の院内死亡率は、カテーテル治療を含めた冠疾患集中治療室(CCU)での治療により5%まで低下しています。しかしながらその一方で、病院外で生じている突然心停止の救命率はせいぜい10%程度で、その最大の原因はAMIを含む急性冠症候群(ACS)なのです。
当学会の第24回学術集会の学会長を務められた平盛勝彦先生は、常々「皆、カテーテル治療の実践と技術向上に夢中になっているが、それで本当に人が救えているのか?心疾患で亡くなる人のほとんどは、病院にたどり着く前に亡くなっているということを知っているのか?」と問いかけ、「カテーテルを使って治療している患者だけではなく、もっと病院の外にいる患者にも目を向けなさい」と話されていました。つまり、CCUの枠を病院の中から病院の外、地域全体へ押し広げて「地域を究極のCCUへ」と転換させるパラダイムシフトが重要になるのです。
その取り組みの1つが、突然心停止を来した時にはその場に居合わせた市民が心肺蘇生を行うことなのです。平盛先生は続けて「病院の外で心停止となっている患者を助ける心肺蘇生の普及も、循環器内科医の立派な仕事だ」とも話されていました。
そして高度な無線通信システム(5G)で医療情報の共有が容易になった今、新たな取り組みとして、救急隊が現場から12誘導心電図を伝送することが行われています。このことでカテーテル治療までの時間を短縮させ、院内死亡率をさらに低下させ、「地域を究極のCCUへ」と進展させています。
このように地域全体で包括的に行われるACS診療は、日本蘇生協議会(JRC)蘇生ガイドライン2020でも引き続き強く推奨され、今なお積極的に推進していく必要があります。そのため、「地域を究極のCCUへ」との言葉は、古いながらもいまだ新しく重要な言葉なのです。
改訂された欧州心臓病学会心不全ガイドラインと日本循環器学会心不全診療ガイドラインアップデート版をも踏まえて
これの状況を踏まえて、欧州心臓病学会の新しいガイドラインでは[6]、まずHFrEFへこれまでの心不全基本薬であるACE-I, MRA, Beta遮断薬に加えて、ARNIとSGLT-2阻害薬も治療の基本薬としてクラスIに位置付けた。ただし、いずれの薬物も心血管死亡には有意な低下作用はなく、再入院でのリスクを低下させたのみであった。この点は、標準心不全治療がしっかりとなされた状況への上乗せ効果であることから、やむを得ないものと思われる。それでも、観察期間が延びれば、有意差が現れる可能性が高いとも考えられる。さらに、ベルイシグアート[7]、オメカブティルメカルビル[8]などの新たに開発された薬物が市場に登場して、今後効果に期待がかかる。これらについては、日本循環器学会ガイドライン2021年JCS/JHFSガイドラインフォーカスアップデート版にも記載された[9]。HFpEFについてのSGLT-2阻害薬の研究結果については、ガイドラインの改訂にははいらなかったが、今後認められていくと思われる。
また、欧州心臓病学会心不全ガイドラインでは、HFpEFの診断についても一歩進んだ内容になっていて、HFA-PEFFスコア、H2-FPEFスコアを用いた診断についても言及されている[9]。HFAによるエキスパートコンセンサスでは[10]、積極的な負荷心エコーや、カテーテル検査時の運動負荷血行動態検査の詳細が述べられている。集中治療室では、HFpEFは十分診断されているとは言えない面も残っている。安静時診断が主体で、負荷による診断を行うことは少ないと考えられるが、集中治療医が診断手法を理解しておき、循環器専門医と連携して症例ごとにしっかりと最終診断する流れを知っておくことが重要である。
栄養とフレイル[11]も大きな課題である。Obesity Paradox[12]と称される心不全の肥満者では、BMIが低値のケースよりもむしろ予後が良好であり、心不全での全身の栄養状態の把握は重要であることが認識されつつある。心不全でBMI低値は、予後不良であるが、BMIを上昇させるように治療介入した研究がなく、その介入効果を証明することができていないのが課題である。その原因として、いったん心不全になったケースでは、栄養管理介入により、BMIを上げることが容易でないことも一因であろう。先のSGLT-2阻害薬による心筋ケトン体代謝と合わせて、全身の代謝を心臓病学の視点から理解することも今後肝要である。その意味では、心不全診療の研究は、単なるポンプ機能の管理だけではなく、新たな局面に入ったといえる。
心不全診療は、集中治療室から始まる多職種連携も重要な役割を持っており、本邦で新たに資格認定されるようになった心不全療養指導士の活躍なども期待されている。今後、オールメディカルスタッフによるハートチームでの診療スキルの大きな進展が期待されている。
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−成人領域への注意喚起−
ほとんどのMIS-C症例は小児科と小児集中治療領域で扱われますが、発症年齢が川崎病(中央値2歳)に比べて高い(中央値8-9歳、CDCの診断基準では21歳未満)ため、成人を扱う集中治療室、循環器内科や消化器内科などに入院する可能性があります。さらに、その後多系統炎症性症候群は成人にも発生することが報告されるようになりました(MIS-A, Multisystem Inflammatory Syndrome in Adults, https://www.cdc.gov/mis/mis-a/hcp.html)。 MIS-C、MIS-Aとも劇症型心筋炎の症状が前面に出る場合があることから、特にCCUに勤務する医師は新型コロナウイルス感染症流行下においては本症を認識しておく必要があると考えられます。