U35 月例報告 2024年1月
2024年2月16日
■座談会開催報告研究座談会
報告者:佐藤 晟也 開催日:1月12日
文献の探し方今回は臨床・研究のそれぞれの局面における文献の探し方について話し合いました。
臨床では、各テーマの文献を一つ一つ読んでいくのは時間の限られた診療現場では効率が良くないため、 専門家の意見をまとめたアプリケーション(UpToDate®など)を利用するという意見が多くありました。
一方、珍しい患者さんへのケアを検討する場合には、看護師や理学療法士が行うケアに関する情報が十分でないケースもあり、 症例報告やケースシリーズを参考にしているという方もいました。研究での文献検索は主にテーマ選択の場面を想定してお話しました。
一から良い研究課題を思いつくのは容易ではないので、ガイドラインや総説に重要だけど未解決の問題(knowledge gap)として 記載されているトピックを参考にするというアプローチが紹介されました。
引き続き、研究に関連した座談会を定期的に実施していく予定です。 経験不問ですので、ご興味ある方はお気軽にご参加ください!
緩和ケア座談会
報告者:吉澤 和大 開催日:1月24日
今回のテーマは若年ECMO患者のwithhold withdrawの議論と、その家族特にお子さんへの家族ケアがテーマでした。
どこのICUでも人工呼吸器などの生命維持装置のwithhold withdrawの議論に頭を悩ませたことのある集中治療医は数多くいると思いますし、 その家族も非常に大きなストレスを抱えていると思います。 その中でもECMOに関しては特に難しい分野になります。
今回は倫理的な観点と、家族ケア的な観点で、多施設多職種での意見が出てきたのが、すごく学びになりつつ、 同じ悩みを持つ仲間がいるということを如実に感じられたのが個人的にはすごく有意義でした。
Withhold治療の差し控えとwithdraw治療の中止に関しては、世界的には違いはないとされていますが、 我々の日本の文化ではまだその差を強く意識することが多く、施設によってもルール考え方が違うものになります。
そのような環境下では、一つの正しい答えがあるというわけではなく、施設ごとに多職種でディスカッションをして、 本人・家族にとって最善の医療を検討し続けるという基本のプロセスに立ち返ることが非常に重要と思います。
その中で家族から伝わる推定意思や希望をしっかりと引き出すためにも、家族ケアは特に重要な位置付けになるでしょう。
家族ケアにおいては、精神的・感情的に寄り添いつつ、意思決定支援を進めていく、 その中で医師・看護師・その他医療スタッフそれぞれでどのような役割ができるのかということも日々チームで相談して 実践していくことが必要になります。
また、子供へのケアに関しては、同じくストレスを抱えた家族であり残された養育者としての役割も果たさなければいけない キーパーソンを支えることから始め、子供への病状の説明などを医療者が代わりに行うなど具体的なアクションにも繋げていけると いいなと思いました。
<参加者からのコメント>
医師側と看護師側のそれぞれの視点から、よりよい全人的なケアを考えるとても素敵な機会をいただけて大変嬉しく思います!
リハビリ座談会
報告者:中西 恭介 開催日:1月26日
今回は、「人工呼吸器装着下でのADL練習と作業療法」というテーマで座談会を開催しました。 始めは、U35の作業療法士である佐藤さんに、作業療法総論・普段の取り組みについてお話頂き、 各施設のOTの取り組みやより良い介入方法についてディスカッションしました。
理学療法士には無い視点が多く、特にコミュニケーション方法の確立については文字盤を理解しやすくするために レーザーポインタを使う方法なども紹介頂きました。人工呼吸器装着下やIMPELLA装着下では、 患者さんは不安により周囲のデバイスに触れてしまうことがありますが、鏡を用いて自身の環境をフィードバックし、 どこまでなら触れても大丈夫か確認してもらうことで不安を軽減する取り組みもされていました。
上肢の機能はやはり早期から介入が必要との考えでしたが、やはり移乗や歩行など下肢への介入の比重が多くなる現状もあるようで、 より他職種との連携が必要と考えられました。 その他も興味深い内容ばかりで、自施設での作業療法士との取り組みについて改めて考えることが出来ました。
今後も、集中治療分野での作業療法の普及に向けて取り組んでいきたいと思います。
第5回CE座談会報告
テーマ:「若手学会勧誘方法について」、「キャリアアップについて」
報告者:加藤 孝昭 開催日:1月31日
日本集中治療医学会CE理事の相嶋理事をお招きして、若手学会勧誘方法・キャリアアップについてご指導いただきました。
若手勧誘に関して、改めて全員で日本集中治療医学会の参加した理由やU35参加理由を共有しました。
その中で、参加理由として全国のCEと繋がりたい、知識を増やしたいという意見が多く観られました。
また、相嶋理事より今後のキャリアプランを考えCEの横の繋がりを作る事はとても重要なため、 学会参加はとてもコストパフォーマンスが良く、学習も出来るため、このような理由で若手を勧誘してみたらどうかと助言を頂きました。
日本臨床工学技士会でのU35の展示ブース出展に向けて、各本面から今一度確認する方針となりました。
最後に、相嶋理事よりU35での活動はとても素晴らしいとのことで今後も是非続けて下さいと、賞賛の言葉を頂きました。
【第6回CE座談会予定】
時期:2月中
■検討会開催報告
外傷症例検討会
報告者:神田 智希 開催日:1月16日
今回は、小児の腹部多発臓器損傷と骨盤骨折、動脈損傷を併発した症例を提示しました。
前医で3時間程度の滞在時間があり、腹腔内出血でショック状態。緊急開腹術先行で処置を行うという状況でした。
小児は体重だけでなく生理的にも特殊なので、相応の対応をしなければならず、事前準備の必要性など、 多職種それぞれの視点からディスカッションを行ないました。
このようなディスカッションが行えるのはU35ならではであり、非常に有意義な時間となりました。
発行者:U35プロジェクト運営委員会