TO JOIN THE INTENSIVE CARE TEAMインタビュー 檜山 洋子
略 歴
広島大学病院薬剤部で一般病棟担当時に感染症に関心があったことから2018年から高度救命救急センターICU、HCU、SICUの病棟専従となる。臨床業務と並行して広島大学大学院医系科学研究科にて博士後期課程を修了。現在も薬物療法に携わりながら、臨床研究にも取り組んでいる。保有資格は医療薬学専門薬剤師、抗菌化学療法認定薬剤師、感染制御認定薬剤師、救急認定薬剤師、災害医療認定薬剤師、認定クリニカル・トキシコロジスト等。

公開日:2024年8月8日 ※所属・役職等はすべて記事公開時点のものです

Q 集中治療の魅力とは?

きっかけは部署内の人事異動でした。全国的に活躍している先輩のポジションとの入れ替わりのため、大きなプレッシャーの中で業務が始まりました。これまで、私は一般病棟勤務でしたが、集中治療領域はこれまでの経験とは異なる患者背景や全身状態が多く、最初は必死に勉強しました。その中で、多職種の協力も通じて、患者に最適な治療を提供するために自身の知識と経験を活かし、貢献できることに大きな魅力を感じています。

Q 集中治療との関わり

当初は高度救命救急センターICU、HCUの病棟業務専従でした。現在はシフト制で中央業務や入院前の薬剤師面談なども担当しています。また、救急外来でも症例に応じて介入しています。

Q この道に入って感じたこと

多職種が緊密に連携し、患者の治療に取り組むことがこの分野で非常に重要だと感じています。生命の危機に瀕した患者と直接向き合う機会も多く、初めは精神的にプレッシャーも強く感じました。しかし、患者により良い治療を提供したいという強い意識を持つようになりました。実際に患者が回復していくプロセスを見ることで得られる達成感は、この領域の魅力のひとつです。
近年では新興感染症など、治療に関する情報が急速に変化することもあります。各々の医療プロフェッショナルが最新の情報を積極的に収集し、実践するために、常に学び続ける姿勢が必要と感じています。

独自の視点を活かして臨床研究に取り組み、仲間たちが研究しやすい環境を構築することを目指す

Q これまで所属してきた施設を選んだ理由

研究への興味から、臨床研究や大学院進学に理解のある職場を希望し、就職しました。海外での短期研修などのプログラムも利用でき、将来の可能性を広げることができる施設と感じています。

Q これから力を入れていきたい分野

集中治療領域に携わる前から感染症分野に興味を持っていました。集中治療と感染症は相互に関連が深く、絶対的に切り離して考えることはできません。今後も、感染症の分野を specialty として極めていき患者一人ひとりに対して「最適な」薬物療法を提供できるよう、私の職能を最大限に活かしていきたいです。
また、近年では「PICS(Post-Intensive Care Syndrome)」という概念が注目されています。私はICU内にかかわらず患者がより良い生活を送れるように多部署・職種で連携し、介入していけるよう努めたいと考えています。

Q 今後のキャリア

職種の特徴柄、特定の人物のみが関与し、単施設のみの経験が主となりやすいです。そのため、学生・若手への教育や施設内外で仲間を増やし、情報交換の場を設けることで視野を広げ、全国的により良い治療を共に模索していきたいと思います。
また、研究分野にも力を注ぎたいと考えています。私は通常勤務のかたわら、社会人大学院生として学んできました。その経験から、臨床研究において独創的な視点をもたらすことができると感じました。今後も、職業としての独自の視点を活かして臨床研究に取り組むと同時に、仲間たちが研究しやすい環境を構築することを目指したいです。

ここは「なんでも相談室」、相談しやすい雰囲気を自ら築いていく

Q 多職種連携で大切にしたいこと

当施設では、PADIS、栄養、感染などさまざまなラウンドやカンファレンスが行われており、それぞれに多職種が積極的に参加しています。これにより、異なる視点からディスカッションが行われ、お互いの考えや専門性を活かしたより良い介入が実現しています。
また、私たちは病棟内の薬局と呼ばれる場所で主に業務をしており、先輩からはここは「なんでも相談室」と引き継がれました。相談しやすい雰囲気を自ら築いていくことも重要だと考えています。

Q 印象に残る経験

医師や看護師だけでなく、年々、様々な職種がますます力を注ぎ、各自の専門知識を最大限に発揮している分野だと思います。私自身、過去の経験から多くの事例を振り返ることができますが、これまで自身だけでは難しかった側面にもフォローが加わり、より洗練された治療が提供されていると感じています。

Q 次世代の仲間へのメッセージ

集中治療は、時には非常に迅速な判断が求められ、責任も非常に重く感じることがあります。しかし、この分野は自身が学び、積み重ねてきた経験と知識を活かす場でもあります。さらに、ここで得た経験は将来に必ず役立つものと確信しています。
専門薬剤師を目指すことで、自分自身の中で不動の支えの一つとなると考えています。一緒に頑張りましょう!

Q 10年後の自分へ

今の自分は、10年前には予想できていませんでした。10年後も予想と大きく異なるかもしれません。やりたいことができることも大切ですが、自身の中で揺るがないことや価値観を大切にし、支えてくれる周囲への感謝の気持ちを忘れず、誠実に取り組んでください。