理事長より新年のご挨拶

2017年1月6日
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日本集中治療医学会会員の皆様

 明けましておめでとうございます。2017年が皆様および貴施設にとって素晴らしい飛躍の年になることをお祈り申し上げます。
 昨年は学会の仕事を最優先することを肝に銘じてやってきました。理事長を拝命した最初の年であり無我夢中でした。副理事長の時には予想もしなかった多くの対応すべき事項があり、いかに歴代の理事長が学会運営に献身されてきたかを実感した年でもありました。皆様からはご意見・ご要望を多数いただきました。皆様の声に真摯に向き合い、学会が正しい方向に発展していくように努めてきたつもりです。日本集中治療医学会・集中治療医が国民に認知され、その地位をより高めるにはどうすれば良いかを判断の軸におき、これだけはぶれないように努めました。
 私達は専門家として技を磨き続けることが必要です。それとともに「成熟した賢い医療従事者」になることが重要です。集中治療医学は救命を至上命題とした時代から変革を遂げつつあります。我が国の医療費はついに40兆円を超えました。病院内で(人件費を含め)最も多くの医療資源を利用しているのはICUです。集中治療に関わる医療従事者はこのことに無関心ではいけません。より良い医療を的確に、限られた資源を最も有効に利用する必要があります。昨年は日本集中治療医学会から多くの素晴らしいガイドラインが作成されました。ガイドラインの内容は全ての患者に当てはまるわけではありませんが、我が国の集中治療レベルを向上させるには必須で学会の大きな責務の一つです。これまでは海外のガイドラインを翻訳して利用していましたが、日本独自の素晴らしいガイドラインが作成されました。各委員長の尽力に深謝申し上げます。ガイドラインは作成すれば終わりではありません。今後も学会の重要な活動の一つとして継続していく必要があります。
 「成熟した賢い医療従事者」であるためには自分自身の身の丈を知ることも必要です。我が国の集中治療のレベルを知ることは必須の事業です。ICU機能評価は最重要事項の一つと認識しています。これは全ての施設の皆様に協力いただかねば達成できません。皆様には迷惑をおかけすることになりますが、不退転の決意で取り組む所存です。我が国の集中治療のレベルを客観的なデータを通して知ることは、集中治療医学・集中治療医を国民に認知させ、その地位を高めるにも必須です。
 危機管理も重要な課題です。震災時の重症患者に如何に対応するのか。2020年には東京オリンピックが開催されます。これらのマスギャザリングの際の疾病にも対応できる取り組みも必要です。今やテロも対岸の火事ではありません。社会的な使命を果たすためにはこれらの発災に対する対応も重要です。
 我が国の集中治療のレベルは非常に高いものだと確信しています。国民への認知度を上げるとともに、世界の集中治療医にも日本集中治療医学会を認知されるようにしていく必要があります。専門医制度に対する準備、集中治療医の教育も非常に重要な課題です。それ以外にも喫緊の課題が多くあります。
 新年を迎えるにあたり、決意を新たに皆様の声に真摯に向き合いながら、日本集中治療医学会の発展のために不断の努力を続けていく覚悟です。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。


一般社団法人日本集中治療医学会
理事長 西村 匡司

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